ア・リーグ新人王の大谷翔平(24=エンゼルス)が、数々の衝撃をもたらした。投げれば最速163キロ。本塁打は130メートル超えが6本。登板10試合&20本塁打&10盗塁は大リーグ史上初だった。4勝&20本塁打は1919年ベーブ・ルース以来99年ぶり。二刀流を封印していずれかに専念すれば、投手なら20勝、打者なら40本塁打の評価が国内外で出たのは当然だろう。

投打いずれかで過ごすシーズンが、早くも訪れる。10月1日に右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建手術(トミー・ジョン手術)を受けたため、来季は打者に専念する。そこで来季を占う意味でも、打者としての傾向を振り返ってみる。

打者大谷の特徴は圧倒的なパワーにある。今季はエンゼルスタジアム中堅後方の名物ゾーン「ロックパイル」(人工岩山)へ向かって飛ぶ打球を何度か目にした。MLBのデータサイト「baseball savant」が公開した数字によると、大谷の本塁打平均飛距離は413フィート(約126メートル)。今季20本塁打以上を放った100人の中で4位に相当する。中堅方向への打率4割8分9厘、長打率9割7分9厘は、ともに50打席以上の打者で最高だった。

飛距離とともに評価されたのが修正する力。開幕からいくつもの壁を破った。

修正例<1> オープン戦で32打数4安打(打率1割2分5厘)、長打なしの状況からスタートした。

修正例<2> 対左投手の成績は

       打-安 打率 

   6月まで 28- 4・143 

   7月以降 71-18・254 

と1割以上良化。

修正例<3> 何打数に1本打つかの本塁打率(打数÷本塁打)はシーズン通算で14・8打数だが、慣れてきた8月以降は11・4打数のハイペースに転じた。

修正例<4> サイ・ヤング賞投手のバーランダー(アストロズ)に対し、最初は4打数無安打3三振も、その後1本塁打、2二塁打とやり返した。

いつまでも苦手を放っておかない大谷に大きなスランプはなさそうだ。来季、5月に戦列復帰すれば、日本人の最多本塁打記録を更新する可能性はある。来季のエンゼルスは5月から131試合を予定。4試合に1本ペースなら33本になり、04年松井秀喜(ヤンキース)がマークした日本人シーズン最多の31本を上回る。5月以降でも松井超えを1つの興味としたい。【織田健途】(おわり)