【ニューヨーク8日(日本時間9日)=四竈衛】マリナーズ菊池雄星投手(27)が、日本人メジャーの「令和初勝利」を挙げた。

敵地ヤンキース戦に先発し、移籍後最長となる7回2/3を3安打1失点1四球3奪三振。6回1死まで無安打に封じる快投で、4月20日以来となるメジャー2勝目(1敗)をマークした。

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マウンドからの景色に、憧れ続けてきたメジャーの伝統、歴史を、あらためて感じた。敵地とはいえ、菊池にとってヤンキースタジアムは特別な場所だった。「ここを中心として野球の歴史が作られていったという雰囲気を感じました。そこでいい勝ち方ができましたし、ヤ軍に投げるのをすごく楽しみにしていたので、本当にいい試合になったと思います」。

初回、先頭に四球を与えたものの、その後は16人連続凡退。味方打線が効果的に得点を重ねたこともあり、敵地スタンドからは回を追うごとにため息が漏れた。「アウェーの大観衆の中で抑えた時の、シーンとした感じもまたすごくうれしいですね」。6回1死から初安打を許し1点を失ったが、危なげない106球で2勝目を手にした。

ニューヨークは、メジャーへの思いを再確認した場所だった。西武時代の2016年9月28日の公式戦最終戦。日本ハム大谷との投げ合いに0-1で敗れた試合後、西武プリンスドーム(現メットライフドーム)からの車内で旅の手配を整え、翌日、米国へ渡った。到着後、真っ先に向かったのがヤンキースタジアムだった。ヤンキース・サバシアが投げ、レッドソックスの主砲オルティス(引退)が豪快にスイングする本場の空気に心が躍った。ただ当時は、自身がマウンドに立つ姿は想像できなかった。「まさか3年後に、こうやっていい投球ができるイメージはできてなかったです」。

初勝利まで6戦を要した一方、4月26日の「ショート・スタート」を挟み、ここ2戦は、ともに7回以上を投げてそれぞれ1失点。イチロー引退後、後輩大谷と一緒に球界を盛り上げたい気持ちは強い。「まだ周りのことを気にしている余裕はないです。無我夢中で投げているところですけど、日本人選手の皆さんが活躍されているので、その歴史に僕も続きたいという思いでやっています」。日本人メジャーの「令和初勝利」を刻んだ菊池が、特別な場所から新時代のスタートを切った。