【クリーブランド(米オハイオ州)9日(日本時間10日)=斎藤庸裕】ヤンキース田中将大投手(30)が、球宴初出場で初勝利を挙げた。2回から2番手で登板し、1イニングを1安打無失点。ナ・リーグMVP筆頭候補のドジャース・ベリンジャーら強打者をねじ伏せた。球宴で勝利投手となったのはヤンキースでは71年ぶり5人目。日本人では初の快挙となった。試合前には恒例のレッドカーペットショーにも参加。家族とともに、夏の祭典を楽しんだ。

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球宴初マウンドを終えた田中はちょっぴり笑っていた。2回、2死一塁。球足の速いゴロが正面に飛んできた。素早い身のこなしでキャッチ。「フィールディング、ちゃんとできますよというのを見せられたので、良かった」。投ゴロとし、無失点に抑えた。登板後は開口一番、「ほっとしてます」と話し、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

2番手の登板。シーズン中の先発時とは違い、ブルペンから駆け足でマウンドへ向かった。「慌ててました」。だが、マウンドに上がれば冷静になった。「対戦がない打者。自分のボールをしっかり投げながら、抑えられたらいいかなと思って、目先を変えて散らして投げました」。直球、スライダー、スプリット、カットボールをまぶし、打者4人、今季合計95発の超重量打線をねじ伏せた。

課題としていたスプリットに手応えを得た。先頭のドジャース・ベリンジャーを「狙って投げました」と低めで空振り三振。5球中、3球スプリットで攻めた。「シーズン中、全然良くなかったんで、いっぱい投げてやろうと思って。練習だと思って。三振もとれたので、良かった」。ズラリと並んだ強打者を抑えられたことが、収穫だった。

初出場の球宴で初勝利。ヤ軍では71年ぶり、日本人初の思わぬ記録もついてきた。前日の本塁打競争からレッドカーペットショーにも参加した2日間を振り返り「楽しい時間になりました。家に帰ってから、ゆっくり振り返りたい」。記憶にも記録にも残る晴れ舞台となった。