メジャーリーグが23日(日本時間24日)、約4カ月遅れで開幕し、昨年ワールドシリーズ第7戦(10月30日)以来、267日ぶりに米国に野球が戻ってきた。開幕戦は無観客による静寂に包まれた中、ヤンキースが昨季世界一のナショナルズに6回途中降雨コールド勝ち。昨オフ移籍したゲリット・コール投手(29)が5回1失点でヤンキース初勝利を挙げた。

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移籍後初登板で初勝利を挙げたコールは、とびきりの笑顔で2020年1勝目を振り返った。「デビュー戦で“1安打完投”できるなんて信じられないよ」。3点リードした6回、ヤンキースの攻撃中に激しい雷雨となり、試合は2時間の中断。そのまま、コールドとなった。5回、75球を投げ、ソロ本塁打の1安打。サイ・ヤング賞3度のナショナルズのシャーザーとの剛腕対決を制し、今季メジャー一番乗りの白星を手にした。

総額356億円の大型契約で移籍したうえでの開幕投手。重圧があっても、うれしさと充実感が上回った。試合前、クラブハウスへ入ると、幼少時から大ファンだったヤンキースのユニホーム姿の選手が居並んでいた。「とても興奮した。これが現実だと実感したよ」。

3月中旬にキャンプが中止となって以来、待機期間は約4カ月に及んだ。その間、名手ブランドン・クロフォード内野手(ジャイアンツ)の妹で、母校UCLAの元ソフトボール選手でもあるエイミー夫人と自主トレを続けた。SNS上に投稿した2人の全力キャッチボールが話題を集め「エイミーを獲得すべき」との声が上がるほどレベルの高い家族との時間だった。今月3日には第1子となる長男が誕生。新型コロナウイルス感染の不安をよそに、新天地でプレーする意思は変わらなかった。

打っては、4番スタントンが先制2ランを含む3打点。投打の歯車がかみ合って好発進した。「いろいろといいことがあった」とブーン監督。マラソンといわれる162試合から、スプリントといわれる60試合の今季。盟主が、まずは絶好のスタートを切った。