メジャーの地区シリーズ(5試合制)4試合が7日(日本時間8日)行われ、ア・リーグ第5シードのヤンキースが第1シードのレイズに完敗し、1勝2敗と後がなくなった。先発した田中将大投手(31)が、5回途中8安打5失点1四球4奪三振と持ちこたえられず、73球でKOされた。7年契約の最終年でもあり、試合後は「すごくつらい」と本音を漏らした。

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表情、口調こそ淡々としていたものの、田中の口からはじわじわと悔しい思いがあふれ出た。5回途中で5失点KO。不調でどうしようもなかったわけではない。むしろ、体調も感触も良好だった。だからこそ、結果が歯がゆかった。「悔しさしかないです。自分自身の状態が前回登板より数段良かっただけに、フラストレーションが半端ないです。すごくつらいですね、今日は」。常日頃、どんな結果でも泣き言は漏らさず、不平やグチも胸にしまい込んできた。だが、この日だけは「つらい」と本音をこぼすほどだった。

負ければ土俵際に追い込まれる一戦。2回に先制されても動じなかった。だが、レ軍の積極打法への対処が1歩遅れた。初回の先頭打者から8打者連続で初球ストライク。敵は、その初球の変化球に的を絞り、攻め立てた。結果的に2本塁打を含め8安打中4本が初球。「コースが悪かったということ。自分がこれで行くと思って投げた1球なので後悔はないです」。データに基づいたプラン通りの配球に、直接の敗因があるわけではない。だが、ワインドアップから昨季までのノーワインドアップに戻した結果、今季最速153キロまで達した速球を十分に使い切れず、痛打を重ねた。

7年契約の最終年。今ポストシーズンは、常にヤ軍最終登板と背中合わせとなる。この日は、中立地サンディエゴでの試合ながら、ヤ軍のホーム試合でもあり、ピンストライプのユニホームで戦った。試合後、米メディアから「ヤ軍ラストの可能性が頭をよぎったか」と問われた田中はハッキリと言った。「まったくないです。今もないです」。つらい思いを残したまま、シーズンを終わりたくはない。雪辱の機会を信じ、同僚に思いを託すように、田中は会見の席から立ち上がった。