NPBから遅れること約1週間。2021年のメジャーが4月1日(日本時間2日)、一斉に開幕する。日本人では、パドレスのダルビッシュ有投手(34)が4年ぶり2回目、ツインズ前田健太投手(32)がメジャー6年目で初の開幕投手に指名された。ともに、昨季はサイ・ヤング賞の次点に選ばれるほどの成績を残しただけに、おそらく異を唱える者はいない。

過去、日本人では田中将大(現楽天、15~17、19年)の4回をはじめ、野茂英雄(00、03、04年)の3回、松坂大輔(現西武、08年)、黒田博樹(09年)、ダルビッシュ(17年)の5人だけ。メジャーで「チームの顔」として認められることは、周囲がイメージするほど簡単なことではない。

ダルビッシュ 「まさかこの年で任せてもらえるとは思わなかった。光栄に思います」。

前田 「メジャーリーグに来て、まさか自分が開幕の日に先発マウンドに上がることができる日が来るとは夢にも思っていなかったです」

2人に共通する「まさか」は、間違いなく本音だった。やりたくてもやれるものではない。誰もが納得する信頼感、存在感がない限り、大役は巡ってこない。それほど、開幕投手の重みは別格と言っていい。

過去、メジャーではトム・シーバー(元メッツ)が最多の16回、現役ではジャスティン・バーランダー(アストロズ)の12回、フィリックス・フェルナンデス(オリオールズFA)の11回など、常連組はほぼ殿堂入りクラスの選手ばかり。しかも、ダルビッシュ、前田の場合、ともに世界一を狙える強豪の「エース」として先陣を切るだけに、期待も大きく、責任も重い。

17年には、田中(当時ヤンキース)とダルビッシュ(当時レンジャーズ)が、別の日に開幕投手を務めたが、今季は史上初の開幕同日先発。昨季の実績、今春の仕上がりを見る限り、ダルビッシュと前田の「開幕白星競演」が実現する可能性は、かなり高い。【MLB担当=四竈衛】