エンゼルス大谷翔平投手(26)が、メジャー通算50号に到達した。9日(日本時間10日)のブルージェイズ戦に「2番DH」で出場し、5回の第3打席、中堅越えへ今季3号ソロを放った。松井秀喜、イチローに次ぐ日本人3人目の通算50号は、基本に忠実な打撃が生み出した1発。第2打席にも片手1本で右翼フェンス直撃の3点適時二塁打を放ち、チームの2連勝に貢献した。投手では右手中指のマメの影響で調整が遅れたが、打者では全開だ。

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初球ストライク、大谷のスイングに迷いはなかった。5回の第3打席。右腕ゾイクの92マイル(約148キロ)のシンカーをセンター返しで捉えた。打球速度173キロで描いた放物線は、中堅へのメジャー通算50号。「素直にうれしいとは思いますけど、今年もまだ始まったばかりなので。通算というより、今年もっともっと打てるように頑張りたい」と、謙虚に前を見据えた。

軸をぶらさず、改善を重ねて50号に到達した。メジャー1年目から繰り返し言葉にする好球必打。「ストライクを振ってボール球を見逃す。カウントにかかわらず、一番基本的なところで難しいところなので」。この日も、甘く入った速球を完璧に打ち返した。「自分が打てるストライクを振っていく。それができれば必然的にハードコンタクトの率も高くなってくる」。基本の考えは変わらない。

一方で変化も加えてきた。不振だった昨年との違いは「膝じゃないですかね。実際に去年やってみて分かりましたけど、かなり重要なところと感じてます」。19年9月に手術した左膝の不安が消え、今オフは下半身を中心にフィジカルを徹底強化。例年なら2月中旬のキャンプインから実戦形式で行う打撃練習も約1カ月早い1月から開始した。

バットの材質もアオダモからバーチへ変更。さらに昨年までは先端寄りに重さがある長距離打者用のタイプを使ってきたが、今季は操作しやすい中央寄りのミドルバランスに変えた。それでも「フィジカルも強くなっていますし、どんなバットでも芯付近に当たれば、本塁打にできるという自信がある」と言い切った。

自らの芯もしっかり、軸を固めて日本人3人目の大台に乗った。この日は5打数2安打4打点。開幕から全8試合に出場し、初の規定打席到達にも期待がかかる。「できる限り出たいし、打ちたいし、投げたいし、っていうのは常に思っているので。監督に使いたいと思われるように、結果を出していけたら」。意欲満々に、謙虚に。大谷らしく、節目を飾った。【斎藤庸裕】

▼大谷が大リーグ通算50号。日本人選手の通算50本塁打は、松井秀喜175本、イチロー117本に次いで3人目。大谷は通算274試合(投手だけで出場した12試合も含む)、997打席目での50号で、試合数、打席数でも松井を上回る日本人最速での到達となった。なお日本ハムでは通算48本塁打で、日米通算100号には残り2本とした。

▽マドン監督(大谷の打撃について) ボールに対して最短距離で振れている。(第5打席の)センターへのライナーも完璧なものだった。こういう打球を既に5回、6回、今年見せている。それができれば、継続して良くなっていく。変化球に対しても適応していくだろうし、今はどの投手の直球でも捉えられている。