エンゼルス大谷翔平投手(26)が、メジャーで初めて左翼の守備についた。24日(日本時間25日)、アストロズ戦に「2番DH」で先発出場。11点ビハインドの8回無死二塁の場面からDHが解除されて大谷が左翼に回り、14年7月13日のソフトバンク戦以来となる守備を無難にこなした。試合前はブルペン投球を行い、試合では第2打席で今季6号ソロ。さまざまな条件が重なり、“三刀流”でフル回転となった。

「左翼手・大谷」が打球を見上げた。8回無死二塁、DHから左翼の守備についた直後、6番タッカーの飛球は大谷の頭上を越える2ラン。その後、打球処理は8番ストローの左翼線二塁打のみだったが、1イニング、無難に守備をこなした。緊急での起用だったとはいえ、さまざまな条件がそろい、大谷のメジャー初の守備が実現した。

<1>野手不足 主力のトラウトが2日前に左肘に受けた死球の影響で欠場が続いている。今試合、大差がついたことで主力のアップトンを途中交代させ、6回から捕手のベンブームを左翼で起用。さらに負け試合で救援陣の無駄遣いを避けるため、同選手を8回無死二塁の場面から投手起用。マドン監督は「野手が不足していた」と説明し、DH解除で大谷を左翼へ回した。

<2>大谷自身の意思 同監督によれば、大谷からの提案もあったという。「実際には彼が(プランを)持ち込んできた。私はいくつか違うことをやろうとしていたが、彼は左翼の守備を喜んでやると言っていた」。これが決断を容易にさせた。

<3>体の状態 26日のレンジャーズ戦へ向け、試合前にはブルペン投球を行っていた。右手中指にマメは再発していない様子で、同監督は「20球程度を投げ、感じは良かった。指もいい感じ」と明かした。大谷が自ら守備の意欲を見せたのも、状態が万全であるからこそ。また、昨年は練習で外野守備についていたこともあり、同監督は「彼は素晴らしいアスリート」と、身体能力の高さを評価していることも後押しした。

打者では3回の第2打席で今季6号ソロ本塁打を放ち、4打数1安打1打点。試合前に投球練習→試合序盤で本塁打→試合終盤で左翼の守備と、この日は目まぐるしく動いた。野手不足の緊急事態が招いた“三刀流”の1日。大谷が元気な証しだ。【斎藤庸裕】