ホワイトソックス村上宗隆内野手(26)は、どうしてメジャーでも本塁打を量産できるのか。4月をジャッジ(ヤンキース)、アルバレス(アストロズ)と並ぶメジャートップで終えた。ヤクルトからポスティングされた際は「速い球が打てない」などと言われ、まさかの2年契約に落ち着いた若き強打者。高角度の弾道を連発する秘訣(ひけつ)をスタットキャストのデータから探った。
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村上が大谷、ジャッジらそうそうたる面々を抑えて本塁打ダービーのトップに立ったのには理由がある。打球に高い角度がつけられるからだ。本塁打12本の平均角度は33度。4月27日エンゼルス戦の12号は48度と例外的だが、これを除くと平均31度。大谷(ドジャース)は昨季54本で平均30度、ナ・リーグ本塁打王のシュワバーは56本で29度。高い弾道は、本塁打量産の鍵を握る。
ではなぜ、村上の打球には角度がつくのか。スイングの「アタックアングル」に秘訣(ひけつ)がある。これはバットがボールに当たる瞬間、バットの芯部分が、水平方向に移動する角度を示す。メジャー平均は10度で、5~20度が理想的とされる。村上は平均18度で、231人中4番目に高い。必ずしも高いほど好数値というものではないが、昨季60本塁打のローリー(マリナーズ)は18度だった。23年に16度で30本、24年に17度で34本だったが、角度とともに本数は増えた。
ただし、角度をつけさえすれば、必ずしも本塁打が増えるという単純ものではない。ポップフライでは意味がない。角度がありつつ強く、速い打球であることが必要だ。村上の打球速度は平均95・0マイル(152・9キロ)で、両リーグ7位。大谷の94・6マイル(152・2キロ=11位)に匹敵する。強い打球を生み出すバットスピードは、平均74・8マイル(120・4キロ)で、今季のローリー(74・9マイル)大谷(74・7マイル)とほぼ同じ。打球速度が95マイル(153キロ)以上のハードヒット率は両リーグ4位の62・5%で、強くて角度のある打球を両立している。
ヤクルトからポスティングされた際「速い球が打てないのでは」と懸念され、長期契約とならなかった。メジャー移籍後のデータを見ると、速球系には強さを見せている。
4月28日までに、村上に投じられた速球系(直球、シンカー=ツーシーム、カットボール)の平均球速は93・5マイル(150・5キロ)。全体の50・7%を占める268球だった。50打数14安打で、単打が6本、本塁打が8本。打率は2割8分、長打率は7割6分と高かった。
抜き球のオフスピード(チェンジアップ、スプリット、フォーク、スクリュー)は、平均球速が86・3マイル(138・9キロ)で、79球と全体の14・9%。こちらに対しては、17打数5安打で単打3本、本塁打2本。打率2割9分4厘で長打率は6割4分7厘だった。
最も打撃成績が悪いのは、最も球速が遅い(平均82・1マイル=132・1キロ)ブレーキング系(スライダー、カーブ、スイーパーなど)だった。182球(34・4%)で、打率1割6分7厘、長打率3割3分3厘だ。
つまり、これまでのところ速球系に最も強く、次にオフスピード、遅い球には苦戦している。シーズン前の予想とは正反対の結果が出ている。
速い球に対応し、高い角度をつけて、強い打球が打てる。村上には、1年目から本塁打王を争える条件がそろっている。【斎藤直樹】



