【アナハイム(米カリフォルニア州)3日(日本時間4日)=斎藤庸裕】月まで届け-。エンゼルス大谷翔平投手(26)が、美しい軌跡を描いた1発で、両リーグのホームランキングタイに再浮上した。レイズ戦に「2番DH」で出場。6回に飛距離427フィート(約130メートル)、中堅越えの9号2ランを放った。前日のマリナーズ戦で右肘に受けた死球の影響で今季4度目となる先発登板を回避したが、投手で貢献できなかった分、打者として奮起。チームは敗れたが、らしさを見せつけた。

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1発を放った後の雰囲気にホームラン打者の風格が漂った。5点を追う6回無死一塁、大谷は右腕グラスノーの内角寄りのスライダーを捉えた。手応え十分。打球を見ながら本塁打を確信するとバットを離し、ゆっくり歩き出した。中堅フェンスを楽に越える130メートルの9号2ラン。MLB公式ツイッターが「ムーンショット」と伝えた美しい軌跡で、キングタイに再浮上した。勝利には結びつかなかったが、マドン監督は「今夜は本当によくやってくれた」とねぎらった。

「投」の代わりに「打」で奮起する男の本領を発揮した。右肘に死球を受けた影響で先発を回避。「昨日の試合後に、打つのは大丈夫と私に言ってきた」とマドン監督は明かした。志願の出場で4打数2安打2打点。18年9月5日、右肘の手術勧告を受けた日に2本塁打を含む4打数4安打3打点と打ちまくった。昨年8月上旬、右前腕の故障で登板絶望が判明後、最初の試合の第1打席で本塁打を放った。投げられなければ打つ-。深刻さの度合いは違うものの、この日も強い二刀流マインドが表れた。

第1打席からやる気満々だった。シフトで二塁寄りに守っていた三塁手を強襲したゴロが中前へ転々とする間に、ギアを上げて一気に二塁へ進塁。直後、トラウトの打席の初球に盗塁スタートを切った。マドン監督が「ちょっと熱くなりすぎていたのかもしれない」と振り返ったように、張り切りすぎ(?)で失敗。それでも「彼は責められない。これまでは成功していた。昨日も盗塁を決め、今日はアウトになっただけ」と、ハッスルプレーを評価した。

大谷の登板回避で急きょ先発が前倒しとなった左腕キンタナと救援陣が踏ん張れず、チームは敗戦。勝利には貢献できなかったが、大谷は6試合ぶりのマルチ安打と強烈な1発でスタジアム全体を盛り上げた。メジャーでもトップクラスのホームラン打者。挽回の機会はまだまだある。

大谷9号2ラン/詳細スコアはこちら―>