パドレスのダルビッシュ有投手(34)が、7回4安打無失点無四球、今季2回目となる2ケタ10奪三振の力投で、4勝目(1敗)を挙げた。

「(今季は)感覚のいい投球が、いまいちかみ合っていなかった。どこかでスッキリした投球をしたかったので、今日やっとできました」と、納得した表情で振り返った。

まったく危なげない投球だった。4、5、7回と先頭打者に安打を許しながらも要所で三振を奪い、ピンチに広げることなく、ゼロを並べた。打者25人に対し、3ボールカウントはなし。先制の3点をはじめ打線の効果的な援護もあり、7回をわずか81球。ストライク59球(72・8%)と、常に優位なカウントに進め、本塁どころか三塁すら踏ませることなく、救援陣にマウンドを譲った。続投も考慮した一方、ティングラー監督は大量7点差でもあり、長丁場の公式戦を見据えて交代を選択。ダルビッシュ自身も「(8回も)行くものだと思っていましたが、(監督が)ベストの選択をしたんじゃないかと思います」と淡々と話した。

快投の要因は、本来の球威を携えた速球だった。過去数試合「このままではダメ」と考え続けていた登板前夜、就寝前に過去数年の好調時の映像を見直した。その際、フォームの違いに気付き、ボールとグラブを手に、通常は「まったくやらない」というシャドー投球で確認。その結果、自分本来の感覚がよみがえってきた。「今日の真っすぐがあれば押し込める。今日の状態であれば、プランを考えなくても大丈夫だと思いました」。多彩な変化球に加え、最速97マイル(約156キロ)のフォーシーム、96マイル(約155キロ)のツーシームをためらうことなく両サイドに投げ込み、10個の三振を積み上げた。

投げるだけではない。主砲マチャドのバットを拝借した打席では、6回に今季20打席目で初安打となる左翼線二塁打で初出塁。今季初ホームを踏んだ。「気持ち良く投げられたのが、打撃にもいい影響が出たのかなと思います」。

防御率は1・81とリーグ3位まで浮上。「なるべく長く、この感覚があるように覚えておきたいと思います」。4連勝のパドレスは、0・5差で首位ジャイアンツをピタリと追走。激戦区を闘い抜くうえで、新境地に入ったダルビッシュの快投は、頼もしい限りだった。