のべ300人以上のプロ野球選手の関節手術を執刀した横浜南共済病院・山崎哲也スポーツ整形外科部長が、エンゼルス大谷翔平投手(26)のパフォーマンスを医師の視点から解説した。

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28日アスレチック戦の投球内容をみても、トミー・ジョン(TJ)手術と、前回登板でみられた一時的な球速低下に関連性はないでしょう。この日は最速で158キロが出ていますし、前回投げた後も打者で出場を続け、打席のパフォーマンスも落ちていません。TJから2年が経過しマウンドに戻って投げることができていれば、完全復帰と呼べる状態。当然、選手なら誰でも好不調の波はあるもので「急速低下=調子が悪い」とみるのが、一般的ではないかと思います。

急速低下への影響として考えられるとしたら、疲労の蓄積や体の機能低下など。また肘ではなく、膝など他の箇所を痛めて自然に肘をかばうフォームになれば、影響が出る可能性があります。ごくまれに、骨棘(こっきょく)ができて痛みとなり、クリーニング手術に至ることがありますが、TJから5年以上経過したケースがほとんどです。

少なくても体のどこかに異変があれば、球団の医療スタッフが気付き、入念に検査し、治療が必要なら出場させないと思います。