大リーグは今日21日(日本時間22日)から、投手に不正使用が疑われる粘着物質の取り締まりを強化する。全体の打率が2割3分台と「投高打低」が顕著な今季のメジャー。一部投手が投球の回転数を上げるために不正使用している疑惑を受けたものだ。先発、救援とも徹底的にチェックされ、違反者の罰則適用も厳格化することで、「スパイダータック」など新物質の横行に歯止めをかけたい方針だ。

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粘着物質の中で特に問題視されているのが、「スパイダータック」という強力な滑り止めだ。本来は重量挙げなど筋力系種目の選手が、グリップ力を強化するために使用してきた。製造販売は大企業ではなく、元ストロングマンコンテストの選手だったマイク・カルーソ氏で、オンラインで細々と販売していた。

ロジンをベースに高分子化合物を調合したものだそうだが、粘着性は強力な接着剤並みだ。製品名の直訳は「クモのねばねば」。粘着性のある糸で虫を捕獲するクモのごとく、手に塗ってボールを持つと、パーの形で手のひらを下に向けても落ちない。これで球を投げると、日焼け止めオイルを混ぜた滑り止めよりも回転数が25%上昇するという。ワシントン州立大学のロイド・V・スミス教授の実験によると、回転数が10%増加すると変化量は約1・9センチ増大したという。

スパイダータックの存在が米メディアで報じられて以降、テレビやネットでは高い粘着性を実証する番組が次々に放送されている。そのせいか、アマゾンなど主要な販売サイトでは現在、品切れ状態だ。