エンゼルス大谷翔平投手(27)の4年目の飛躍に、球団OBも称賛の声を上げた。通算132勝の実績があり、エンゼルス戦の中継で解説者を務めるマーク・グビザ氏(59)と、93年に球団史上初の新人王を獲得し、現在はコメンテーターとしても活躍しているティム・サーモン氏(53)は、大谷をメジャー1年目から取材。それぞれが、投打の進化について語った。【取材・構成=斎藤庸裕】

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開幕ローテーションの投手陣で唯一、年間を通じて走り続けた。一時的に登板間隔が空いたことはあったが、安定してシーズンを完走。元20勝投手のグビザ氏は自身の経験を踏まえ、今季を分析した。

「彼にはものすごい気力がある。もちろん、監督やGMとのコミュニケーションもしっかり取れていると思うが、気力のような何か、勝ちに貢献したいというね。その道が投げることと、打つことなんだと思う」

特に登板翌日はすさまじい精神力だと感心する。「下半身は痛いし、肩も脇も痛い。でも彼は打って、そして盗塁も試みる。どうやって可能にしているのか分からない」。ナイターだった8月18日タイガース戦で8回117球と力投し、翌デーゲームで3打数2安打。当日の様子を見ていた同氏は「ダッグアウトから笑って出てきた。(登板翌日は)僕なら歩くこともキツイのに」と目を丸くした。

周囲にも伝わる気迫だけでなく、今季は笑顔も目立つ。「このレベルで成功するには楽しむことも大事。リラックスして笑っていれば、筋肉もほぐれて、いいパフォーマンスができると思う」と、スマイルが安定感の秘訣(ひけつ)とも指摘した。この4年間を見て「最初の1、2年は少し静かで、遠慮していた感じだったのかな。でも今は、チーム内でよりリーダーシップを執っているように見える。マイク・トラウトのようにね。成功の要因の1つかもしれないね」。精神面の進化が、投手大谷を一回りも二回りも大きくした。

◆マーク・グビザ 1962年8月14日、米ペンシルベニア州生まれ。81年ドラフト2巡目(全体34位)でロイヤルズ入団。84年の初昇格からローテ入りし、85年ワールドシリーズ制覇。88年に自己最多20勝を挙げサイ・ヤング賞投票3位。88、89年に球宴選出。97年にエンゼルスに移籍し、同年引退。メジャー14年で通算132勝136敗、防御率3・96。現在はエ軍戦の専属解説を務める。