エンゼルス大谷翔平投手(27)の二刀流は2021年を歴史的なシーズンにした。だが、完璧ではなかった。本塁打王間違いなしに思えた前半戦から、思うようにならない後半戦。なぜ大谷は失速したのか? を深掘り。多角的に検証した。失速した部分は、来季に向けて伸びしろになる。

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投打のリズムが二刀流に好影響を与えるはずが、逆転現象が起こっていた。7月からシーズン後半にかけ、大谷は投手で勝ち星を重ねた。前半戦の投手成績は4勝1敗、防御率3・49。後半戦は4戦4勝を含む5勝1敗、防御率2・84だった。四球数は前半の35個から後半は9個に激減。制球力が大幅に改善した。

投手成績が徐々に上がっていった一方で、打者では下降気味だった。特に本塁打のペースは一気に下がった。大谷にとって二刀流でのプレーは普通の感覚で、どちらかに専念は違和感を覚える。投手と打者の繰り返し。そのバイオリズムが、パフォーマンスの好循環を生むこともある。だが、今季は違った。開幕4戦目の初登板で本塁打を放ったものの、投打で同時出場するリアル二刀流での打撃成績は打率2割1分4厘、3本塁打、8打点に終わった。