【アナハイム(米カリフォルニア州)16日(日本時間17日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(27)が、再び米球界の「顔」になった。暗号資産(仮想通貨)取引所のFTXが大谷と長期的なパートナーシップを結んだことが発表された。同社は野球界の枠を超える大谷の影響力をたたえ、今後は大谷を「グローバル・アンバサダー」として、FTXブランドやデジタル資産への認識を世界規模で高めていくという。日本時間19日朝のMVP発表を前に、大谷がまたも話題をさらった。

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世界的にも、大谷が野球界の顔となった。MLBやMLB選手会とオフィシャルパートナーとして契約するFTXの「グローバル・アンバサダー」に就任。他スポーツでは、プロフットボールNFLのトム・ブレイディ(バッカニアーズ)、バスケットボールNBAのステフィン・カリー(ウォリアーズ)らが名を連ねる。米4大スポーツのスーパースターに仲間入りし、米スポーツ界のトップ選手に並ぶ、新たな“勲章”を得た。

すでにシーズン中からMLBの「顔」に成長した。6月下旬、米ニューヨークのMLBオフィスではパドレス・タティスら6選手と並んで特大写真が並び、MLBを代表する選手となった。7月中旬のオールスターには史上初の二刀流で出場。同時に、大谷に特化したCMも作成された。さらに9月は、米大手スポーツ雑誌「スポーツ・イラストレーテッド」(10月号)が投手版と野手版の2種類の表紙で発売。顔といえば、8月中旬に本拠地での試合でも、大谷の顔が無数(?)にプリントされたTシャツも配布され、ファンを盛り上げた。

大谷はメジャー4年目で初めて投打の二刀流でシーズンを完走。オフシーズンにはMLBからコミッショナー特別表彰を受けるなど、歴史的な活躍をたたえられた。FTXの広告塔としてだけでなく、世界の地域社会への発展にも積極的に取り組む。同社の創設者兼CEOのサム・バンクマン=フリード氏(29)は「野球以外で、彼は世界のコミュニティーを改善することにも情熱を持っており、それは彼とFTXの共通のこと。ショウヘイと、さまざまな慈善活動で協力できることをうれしく思っている」とコメントした。

◆大谷がスポンサー契約やCM出演している主な企業 アシックス、デサント、オークリー、ザバス、日本航空、ヒューゴ・ボス、セイコー、ファナティクス(スポーツライセンス)など、スポーツメーカーから時計メーカーまで分野は多岐にわたる。また日本コカ・コーラ、三菱UFJ銀行、東京西川などのCMに出演している。

◆トム・ブレイディ NFL史上最高のQBの1人。ペイトリオッツ入団2年目の01-02年にスーパーボウルを制し、史上最年少の24歳で大会MVP。チームを17度の地区優勝に導き、スーパーボウル6度制覇。20年にバッカニアーズに移籍し、1年目でスーパーボウルを制した。QB最多勝利など数々の記録を持つ。米誌フォーブスの今年のアスリート収入ランキングでは9位の7600万ドル(約83億6000万円)。

◆ステフィン・カリー 09年ドラフト1巡目(全体7位)でNBAウォリアーズに入団し、14-15年シーズンから2季連続でMVP獲得。チームを40年ぶりの優勝に導いた15-16年シーズンは得点王やスチール王などのタイトルを手にし、史上初の満票でMVP選出。NBA優勝3度、オールスター7度選出。米誌フォーブスの今年のアスリート収入ランキングでは11位の7450万ドル(約82億円)。

◆大谷翔平 12年ドラフト1位で日本ハムに入団し、14年にプロ野球初の同一シーズン2桁勝利、2桁本塁打を達成。17年にエンゼルスへ移籍。18年には打者で打率2割8分5厘、22本塁打、61打点、投手で4勝を挙げ新人王。21年は打率2割5分7厘、46本塁打、100打点、投手でも9勝と飛躍した。推定年俸は300万ドル(約3億3000万円)で、スポンサー契約はMLBトップの600万ドル(約6億6000万円)。