依然としてコロナ禍の影響を受ける中、21年のMLBは無事に公式戦162試合を終えました。エンゼルス大谷翔平投手(27)がベーブ・ルース以来となる「二刀流」の大活躍で全米中を沸かせ、MVPなど各タイトルを総ナメにするインパクトを残しました。では、22年はどう動くのでしょうか? 大谷への期待度、メジャーの今後動向などについて、斎藤庸裕、水次祥子、四竈衛の日刊スポーツMLB担当記者3人が、新年を機にざっくばらんに語り合いました。

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四竈 21年のMLBは、大谷の活躍抜きには語れなかった。みんなはどこまで予想していた?

斎藤 開幕前で、ある程度やるだろうなという予感はありましたけど、想像をはるかに超えてきました。いろいろ失敗しながらやっていくとは思っていましたけど、「リアル二刀流」で初出場した4月4日ホワイトソックス戦は強烈でした。勝利投手こそ逃しても先制弾。これはすごい、と。

水次 日本では、どのテレビ局も朝からワイドショーなどでニュースを流し、注目度が一気に上がりました。でも、ここまでいくとは誰も想像していなかったのでは。新聞やネットのアクセス数も、大谷の記事はすごいですし、5、6月以降はさらに期待値が上がったように思います。みんなが話題にして、まさに「大谷フィーバー」という感じでした。

斎藤 日本の知人ですが、野球に全然興味のない人が、大谷は誰と結婚するんだとか、そういう話題で盛り上がることもあったみたいです。米国でも、野球とは無関係の家族で大谷の話題ばかりだったという話を聞きました。

四竈 驚いたのは、8月18日タイガース戦で40本塁打&8勝目を挙げた時、「まだリハビリ。まだ(状態は)100じゃない」と言ったこと。通常、リハビリ過程で40発打てる選手はいない。スケールの大きさというか、まだ先があるという考え方が見えて、忘れられない一言だった。それだけに、今季の期待も膨らむ。

斎藤 ケガをしないことが前提ですが、打撃は何かつかんだような気がします。年々、課題を克服してきたことからも、上がるとすれば打率です。投手としては、メジャーで自身初の2ケタ勝利を期待します。昨年、僕はサイ・ヤング賞の投票権(5人連記制)を持っていましたが、票は入れませんでした。ただ、今年は候補の域に到達しそうな気がします。

水次 昨年、二刀流でほぼ休みなくプレーしたので、疲労や体調面を心配されましたが、1年間やりきったのは大きいと思います。

四竈 エンゼルスが先発6人ローテーションで間隔を空けていけば、昨季以上の成績は残せるはず。1つの基準は規定投球回(162)。昨季は規定打席(502)に到達したから、両方をクリアすれば、連続MVPの可能性も膨らむ。エンゼルスとの契約延長についてはどうなるだろう?

水次 まったく根拠はないですけど、エンゼルスに残るんじゃないかと…(笑い)。金額は抑え気味になるかもしれないけど、ひょっとしたら13年契約とかしちゃうんじゃないかと。

四竈 37歳のマックス・シャーザー投手(メッツ)が3年1億3000万ドル(約143億円)の大型契約をする時代。大谷の代理人側からすれば、契約延長の交渉は続けるとしても、FA市場に出してみたいはず。資金力のあるヤンキースやドジャースがいくら積むのか。最低でも10年以上の長期契約になるだろうし、総額の想像もつかない。取材する側としては、大変になるだろうけど…。

斎藤 覚悟はしてます。その場合、二刀流ができなくなったケースなどを含めて、細かい契約になるでしょう。ところで、プライベートな話題は気になったりしますか?

水次 気にはなりますけど、でも野球オンリーでほとんど地味な生活をしてるんだろうなと想像してます(笑い)。

◆斎藤庸裕(さいとう・のぶひろ)米ロサンゼルス在住。ロッテ、楽天担当などを経て、14年に渡米。スポーツビジネスを学び、18年からエンゼルス大谷番。

◆水次祥子(みずつぎ・しょうこ)ニューヨーク大でジャーナリズムを学ぶ。03年の松井秀喜ホームデビュー戦満塁弾など、球史に残る場面に多数遭遇。

◆四竈衛(しかま・まもる)長崎県出身、米アリゾナ在住。北関東支局を経て、巨人、ヤクルトなどを取材。99年からメジャー担当。趣味は料理とゴルフ。