ブルージェイズ加藤豪将内野手(27)が、メジャー初打席を刻んだ。

レッドソックス戦に「8番二塁」でスタメン初出場。3回先頭の“メジャー第1打席”は四球を選んだ。先発右腕ホウクのボールを冷静に見極め、フルカウントから外角直球を見送った。その後は1番タピアの中前打で二塁に進み、2番ビシェットの適時打で生還。ベンチでチームメートから祝福を受けた。

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米国育ちで、ヤンキースからドラフトで指名されたとはいえ、加藤は極めて「日本人らしい」選手と言っていい。米国へ移住した直後、英語がうまく話せず、やや引っ込み思案だった当時、メジャーで大活躍していたイチロー氏の姿に魅了された。「イチローさんは僕に、米国社会に溶け込む勇気を与えてくれた。僕の人生は変わりました」。春休みには自宅のあるサンディエゴからキャンプ地のアリゾナ州ピオリアを訪れ、イチローの躍動する姿を目に焼き付けた。

そのイチロー氏が12年にヤ軍入りしたことで「同僚」になった。13年オフにはイチロー氏の神戸での自主トレに参加し、食事にも誘われた。その間、黒田博樹、田中将大らだけでなく、マイナーの巡回コーチを務めていた松井秀喜氏からも、ことあるたびに助言を受けてきた。マーリンズでは再びイチロー氏と「同僚」になり、パドレスではダルビッシュ、今季もブルージェイズでは菊池雄星と同じグラウンドに立った。

もっと近道はあったのかもしれない。だが、加藤は愚直なまでにこつこつと体を鍛え、技を磨いた。常に礼儀正しく、謙虚な加藤は、尊敬するイチロー氏が残した「遠回りこそ一番の近道」を、自ら実践してきたのかもしれない。【MLB担当=四竈衛】