侍ジャパン栗山英樹監督(61)が、エンゼルス大谷翔平投手(28)を視察した。「2番DH」で出場したツインズ戦を、三塁側スタンドで観戦。4打数無安打2三振に終わったが、来春開催のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)へ向け、状態をチェックした。

日本人選手を中心に視察したメジャー行脚は、大トリが大谷。愛弟子のプレーを目に焼き付け、世界一奪還への思いを語った。

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一回りも二回りも大きくなった大谷が、恩師の前で元気な姿を見せた。試合前の選手紹介で大歓声を浴び、打席に入る度にスタジアムが盛り上がる。日本が生んだ二刀流はメジャーの顔になった。その礎を築き、成長を見守ってきた栗山監督。「ファンの皆さんが、本当に楽しみに見てくれているのが一番印象に残ったし、野球の本場米国で、これだけ多くの方が喜んでくださって、すごくうれしかったです」と熱気を肌で感じ取った。

来春のWBCを見据え、メジャー視察のため8月上旬に渡米。日本人選手の状態チェックが主な目的で、大トリが大谷だった。帰国後に代表選考を進める予定で、栗山監督は「第一条件は魂。日本のために、次の世代のために野球やりますっていうね、日本の野球を示しますよってね。それが一番」と熱く語った。

3大会ぶりの世界一を目指す一方で、過去最強の強敵が立ちはだかる。米メディアによれば、フィリーズの主砲ハーパーも米国代表として参戦する見込み。同監督は「一野球人としては最高ですね。こんなにやりがいのあることはないって、選手たちも思ってくれるんじゃないかな」と心を躍らせた。参加意欲を示している大谷のメンバー入りは明言しなかったものの、「本人も楽しみにしているだろうし、新たな大きな壁に向かって、どれだけ自分がそれを打ち破れるのかっていうのをずっとやってきた選手」と期待を寄せた。

この日、4打数無安打に終わった大谷は第4打席で一ゴロを放ち、全力疾走。間一髪アウトとなったが、栗山監督が思い描く侍ジャパンの強みを体現した。「当たり前のことを当たり前に出来る。例えば、もう半歩早くスタートを切れたりとか、もう半歩、全力で走れたらとか、そういうこと」。日本の底力を示す舞台へ向け、「もちろん、世界一になるためにやる」と意気揚々と宣言。胸が躍る挑戦となる。【斎藤庸裕】