パドレスのダルビッシュ有投手(36)が粘って、耐えて、チームの勝利に貢献した。

ドジャースとのナ・リーグ地区シリーズ第2戦に先発。通算197勝の左腕カーショーとの投げ合いで、5回0/3を投げ、7安打3失点。元阪神スアレスら救援陣にも助けられ、今季ポストシーズン2連勝を飾った。シリーズ1勝1敗のタイに持ち込み、14日(同15日)から本拠地サンディエゴでの2連戦に弾みをつけた。

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さまざまな感情を胸にしまい、ダルビッシュは腕を振った。左腕カーショーとの投げ合い。「自分や家族を守ってくれたのがカーショーだったので。いつか、プレーオフの重要な場面で投げ合うことが出来たらいいなと思っていた。それが、やっときたなと」。5年前のワールドシリーズではド軍の一員として先発し、2戦2敗でチームも敗退。逆風にさらされた中で、救ってくれた恩人だった。

経験を糧とし、力に変えた。「ちゃんと頭の中にありますけど、あれも思い出の1つとして残っている。気持ちの中でしっかり持っておこう、というのはありました」。そして、試合前に思いを巡らせた。「2017年のポストシーズンで、最後終わった時に家族にすごく悲しい思いをさせたと思う。今日は、うれしい気持ちで、家に帰らせてあげたいなって」。勝利後の笑顔を思い描き、戦った。

3回までにソロ3発を浴び、3失点。ファウルで粘り、球数を多く投げさせるド軍の攻撃にも根気負けしなかった。だが6回、連打で無死一、三塁となったところで降板。大ピンチを救ってくれたのは、元阪神のスアレスだった。「あの状況でも0点に抑えてくれるんじゃないかって思ってました。本当にみんな調子がいいので、見ててすごいなと」。盤石の救援陣が踏ん張り、接戦をものにした。

試合終了の瞬間は、力強くガッツポーズ。「今日、みんなでこうやって勝てた。自分たちにとっても、(本拠地の)サンディエゴにとっても、すごくいいことかなと思います」と前を向いた。チームや、家族や、本拠地で待つファンの思いを背負い、投げ抜いた99球。ホームでの2連戦へ、勢いをつける力投となった。【斎藤庸裕】

▼ダルビッシュが3本塁打を浴びながら勝利投手。ポストシーズンでは17年地区シリーズ第1戦のカーショー(ドジャース)が、ダイヤモンドバックスに被本塁打4で勝って以来5年ぶり。

▼ダルビッシュがワイルドカードシリーズのメッツ戦に次いでポストシーズン(PS)2勝目を挙げ、PS通算4勝目。日本人投手でPS4勝以上は田中将大の5勝に次いで2人目。日本人投手の同一シーズンPS2勝は最多タイで07年松坂(レッドソックス)08年黒田(ドジャース)17年前田(ドジャース)田中(ヤンキース)ダルビッシュ(ドジャース)19年田中(ヤンキース)に次ぎ7度目。

▽パドレス・マルティネス(好救援でピンチを救ったスアレスについて) 非常に特別な選手。多くの人が彼について語っていなかったし、過小評価されていた。野球で彼が出来ることは、とても特別なこと。

○…NPB経験者のリレーでドジャース打線を封じた。2番手で登板した元阪神のスアレスが最速101マイル(約163キロ)の速球で押し、6回無死一、三塁を三振と二ゴロ併殺で切り抜けるなど、2回を無失点に抑えた。3番手で登板した元日本ハムのマルティネスも2/3回を無失点。守護神ヘイダーにつなげた。今季31歳でメジャーデビューを果たしたスアレスは「シーズンが進むにつれ、自信が深まった。ここ数回の登板でうまくやれているし、これをキープしたい」と語った。