ソフトバンクから海外FA権を行使してメッツへ移籍した千賀滉大投手(29)が19日(日本時間20日)、ニューヨークの本拠地シティフィールドで入団会見を行った。5年契約で総額7500万ドル(約105億円)。育成契約でプロ野球入りした選手の大リーグ移籍は初。SNS上でファンの意見を募集していた背番号は、歴代最多5714奪三振の大投手ノーラン・ライアンがメ軍デビュー時に背負っていた「34」に決まった。

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千賀は英語での自己紹介を終えると、日本語で決意を語った。「34という番号をファンの方に選んでいただいたので、とにかく自分の番号にできるように頑張ります」。ソフトバンク時代に背負った21はエースのシャーザーが付けており、41は名投手トム・シーバーの永久欠番。千賀は34、40、46と3つの候補を挙げ、SNS上でファンへアンケートを実施した。球団の公式ツイッターによると、9477票中、46.5%を集めた34が最多に。異例のファン投票による背番号が決定した。

メッツの34番と言えば、歴代最多奪三振の記録を持つ殿堂入り投手ノーラン・ライアンが、1966年のメ軍デビュー時に背負った。その後、ライアンは30に変更したが、アストロズ移籍後は再び34を背負い、ア軍とレンジャーズでは永久欠番となった伝説の背番号でもある。

パドレス、レンジャーズ、ジャイアンツなど多数の球団から誘われたが、メ軍を選択した理由を明かした。必要とされていると感じたことに加え、ともにサイ・ヤング賞3回のシャーザー、バーランダーというベテラン投手の存在が決め手となった。「すごいレジェンド。日本で野球をやっている僕らでももちろん知っている。僕より確実に活躍されている2人なので、いろんな話を聞きながら学ぶ気持ちでここに来ました」。日本では育成ドラフト入団からはい上がったが、さらなる向上心を持ち続けている。

殿堂入り選手の背番号を背負い、将来の殿堂入りが確実視される剛腕2人とプレーできる環境を得た。「そういう人達(シャーザー、バーランダー)のようにアメリカで成功できるように、一生懸命頑張るという気持ちでいます」。好成績を残せば数え切れない称賛を受け、逆ならば容赦ない批判を浴びる大都会ニューヨーク。映画「ゴースト」の舞台で、代名詞「ゴーストフォーク」を武器に世界一への挑戦が始まった。

◆メッツの背番号34 62年の球団創設から千賀が歴代35人目となる。ライアンは同7人目で、この背番号では登板2試合のみ。2000年代以降は先発投手の主軸が背負うようになり、最長7年のペルフリーは2ケタ勝利を3度マーク。エンゼルス大谷と今季同僚だったシンダーガード(ドジャース移籍)は15年からの6年で47勝を挙げた。

◆ライアンのメッツ時代 アルビン高から65年ドラフト12巡目で入団。66年9月にメジャーデビューし、2試合で0勝1敗。背番号を30に変更した翌68年にメジャーに定着し、21試合で6勝9敗。69年は先発と救援の両方で6勝3敗1セーブと活躍。ワールドシリーズ優勝に貢献した。70年は7勝、71年は10勝を挙げたが、ジム・フレゴシ内野手(後にフィリーズなど4球団で監督)との4対1の交換トレードで他3選手とともにエンゼルスに移籍。移籍1年目から最多奪三振と素質が開花し「球団史上最悪のトレード」とも呼ばれる。メ軍では通算29勝38敗、防御率3・58。