マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(49)が18日、インスタグラムで「悩める大人の相談ライブ『イチ問一答』」を発信した。オリックスグループ公式アカウント「SMILE ON」に寄せられた仕事、転職、独立、恋愛、結婚、離婚、人間関係などの悩みに独自の視点で回答した。司会は住吉美紀氏が務めた。

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質問「大学を出て就職して10年目になります。仲の良かった同期との関係が、お互い出世を意識しているのか、少しギスギスしていると感じる。出会った時のように楽しく、お互い助け合い、切磋琢磨(せっさたくま)する関係に戻れるでしょうか」

イチロー氏「入社して10年、30代前半から中盤にかけてぐらいだと思う。出世したいじゃないですか。仕事に没頭しないといけない時期もある。同期の誰々がそういう時期だと、見守って欲しい。時間がたってから『あんなことあったよね。あの時期、仕事に没頭していたよね』と。そういう関係に。僕の生きてきたプロ野球という特殊な世界は、基本的に1番のヤツらが集まっている場所なんで、なかなか。そいつらと争う。切磋琢磨(せっさたくま)というより、争いのニュアンスが近い。そこで勝ち抜かないと生きていけない。日本ではもちろん、アメリカに行ってからは日本人野手は数えるほどしかいなかった。僕はアメリカに行って10年たたない時期でしたけど、『坊主にくけりゃけさまで憎い』という言葉があるけど、その坊主だった。オレは坊主だって。その時期、実は日本に戻ろうかなと考えた。僕は信じていることをやるだけだし、人にとやかく言われるのが悔しかった。耐える時だと、覚悟を決めて」

質問「高校時代の先生が好きになり、勇気を出して告白した。『オレは教師になった時から生徒とは付き合わないと決めているので』と、ヘラヘラしてあっさり振られた。諦められればいいのですが」

イチロー氏「8つ上の先生に聞いていてほしい。先生が何て言うか別の話かもしれないけど、人の真剣な思いをヘラヘラした態度で聞いてんじゃねえと腹が立ちます。そこは生徒と先生だとしても。僕だったらスパッと次に行きやすい態度だと思う。僕は思い出した。20代のころ、結婚するだいぶ前、女の子から『私の気持ちを受け止めてくれないの?』と言われた。『僕はあなたの気持ちを受け止めてはいる。受け入れていないだけ』と答えた。ぶち切れていたけど。僕は真摯(しんし)に答えた。人を好きになる気持ちはすごく大事。その気持ちを持って、新しい恋をしてほしい」

質問「28歳ですが彼氏ができたことがありません。周りはどんどん結婚していく。マッチングアプリや合コンに参加していますが、出会えません。何が悪くて出会えないのか悩んでいます」

イチロー氏「積極的なんですよね。恋に対して。いろんなきっかけでつかもうとしている。結婚もしたい。追いかけると遠のくだろうなと思う。恋愛だけじゃなくて、いろんなものが、欲しいものはなかなか寄ってきてくれない。いろいろトライするけど、見つからない。探すものではなく、出会うものだとは思うけど。見方を少し変えると、何でも話せる相手、友達の中に結婚相手はいるかもしれない。お互いにそうだといいですよね。恋愛となると、結婚すると愛の形が変わっていくとよく言う。それはその通りだと思う。ずっと恋愛して、結婚生活を送るのはなかなか難しいと思う。それよりも友達で何でも話してた人の方が、結婚生活になるとすごく楽だと楽しいというケースは結構あると思う。お見合いも、お互いが結婚を望んでいるから条件を出し合って、それがマッチすること。恋愛は形が変わるので、難しくなる。実はうちもそのパターン。友達パターン。何でも話してた。何にも意識してなかった(笑い)。すいません(妻の)弓子さんに(話していいのか)ちょっと承諾を得てないので、ごめんなさい。当時は何も意識してなかったですからね。それがある時、すっごい楽だなと。お互いに感じていた。それが結婚生活のヒントになる気がする」

質問「負けず嫌いの性格のため、妻と口論になることがある。普段は愚痴や嫌みを受け流すようにしているが、たまりすぎるとスイッチが入ってしまう、嫌なことを受け流す方法はあるか」

イチロー氏「愚痴は聞いてあげて欲しい。嫌みは腹立つけど。女の人は愚痴を聞いてもらうと、ずいぶん楽になるらしいじゃないですか。愚痴は聞いて欲しいな。スイッチが入って切れてしまう。感情的になったら、残念ながら負けです。あらゆる場面で。僕がやっているテクニックは、いったん、ここで切れたら後悔しないかと(客観的に)一瞬、そんな自分が現れる。そうすると収まる。面白い。野球でもストライク、ボールの判定が何度も数え切れないほどあって。ここで切れたら負けだよなと。切れてもOKの場面だと判断したら切れていい。静かに切れて欲しい。その方が怖い。ガミガミ言われるより。感情的になると相手をけなしてしまう。バカだあほだと。それでは何も進まない。今、何が気にくわないのか、奥さんのどんな行動が気に入らないのか伝える。そうやって議論にならないと前に進まない。感情をぶつけ合っているだけでは子供のけんかと同じ。前に進もうと思ったら、お互いの意思を確認して、妥協するのが大事なポイントですよね」

住吉氏「家ではイライラすることが防げている?」

イチロー氏「ウチは、お互い静かに切れてます。感情的にはならない。めったにない。どちらかというと、ため込んでいく2人なので、両方静かに切れていく。そういうパターンです」

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