フィリーズの主砲ブライス・ハーパー外野手(31)は、二刀流・大谷翔平投手(29)の完全復活を待ち望んでいる。シーズン終盤、8月下旬のエンゼルス戦で、右肘の靱帯(じんたい)を損傷した大谷について大勢のメディアの前で思いを語った。

「彼は(右肘の手術が)2度目の経験だし、自分の身体をしっかり理解していると思う。投げて、打つ、その負荷は僕には想像もできないけど、これからも両方で続けて欲しい。見ていて楽しいし、少年たちにも彼のように出来るんだと希望を与えてくれる。いつか、彼がやっているような、とても特別なことができる選手がたくさん出てくることを願っている。力強く戻ってきて、ショウヘイらしくいてほしい。みんな彼を見ることが好きだからね」

8月23日のレッズ戦後に右肘の故障が発覚し、残るシーズンで投手大谷の登板はなくなった。だが、順調に先発ローテーションで回っていれば、翌週のフィリーズ戦で直接対決が実現するはずだった。ハーパーは、「最高の選手になりたいなら、最高の選手と対戦しなければいけない。だから全員が楽しみにしていたと思う」と、対戦相手としての気持ちを代弁していた。

打者としては大谷と同じ左の長距離砲。足を上げず、つま先やかかとの動きでタイミングを取る打撃フォームも類似点の1つだ。また、21年のシーズンMVPはア・リーグが大谷で、ナ・リーグはハーパー(自身2度目)だった。ともにメジャーリーグを代表するスター選手。レギュラーシーズンで初めて顔を合わせた22年の6月上旬、ハーパーは大谷の活躍ぶりを、うれしそうに語った。

「彼はスーパースター。華がある素晴らしい選手で、見ていてすごく楽しい。彼がやっていることはとても印象的で、僕も笑顔になれる。多くの人が、出来ることではないからね」

注目されたMVP対決では、10打数2安打で不発に終わった大谷に対し、ハーパーは10打数4安打、3本塁打、8打点と大活躍だった。最高レベルの選手との対決は、モチベーションを高める。その先には、特別な思いがあった。

「ショウヘイであろうと、トラウトであろうと、誰であろうと僕は皆が成功して欲しいし、それは楽しい。野球がより面白く、素晴らしいものになる。彼がやろうとしていることは、野球にとってすごくいいことだし、ファンにとっても多くの楽しみをもたらしてくれる」

8月末のエンゼルス3連戦では、フィリーズの本拠地シチズンズバンクパークで、大谷とハーパーの首振りピンバッジが限定販売された。スター選手たちが互いに対決を楽しみ、ファンを盛り上げる。野球のさらなる発展のためにも、ハーパーは大谷の成功を願っている。【斎藤庸裕】