【グレンデール(米アリゾナ州)7日(日本時間8日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)と、不朽の名作「ドラゴンボール」にも物語がある。20年から2年連続で最優秀救援投手に輝いた右腕ヘンドリックス(レッドソックス)、昨年まで同僚だったエンゼルスの守護神エステベスらは、ドラゴンボールの話題でも友好関係を深めた。2度の右肘手術から復活を目指す大谷は次戦、8日(同9日)のレッズ戦に出場予定。3月20日のパドレスとの開幕戦(韓国・ソウル)へ向けて、仕上げの段階に進む。

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大谷とドラゴンボール。野球のプレーで直接的な関係はないが、世界的な名作の話題が、他選手との交流のきっかけにもなった。かつて、レッドソックスの救援右腕ヘンドリックスは、アスレチックス時代に対戦を重ねていた大谷とエンゼルスタジアムで遭遇した時の状況を明かしたことがある。

「19年のときだったかな。幸運なことに、外野のフィールドで話す機会があった。漫画のドラゴンボールZのことについて話しながらね。そうやって話し始めて、毎回、あいさつするようになったんだ」

同投手は当時のことを懐かしそうに振り返ると、クラブハウスでおもむろに練習用のグラブを取り出した。得意げに見せてくれた文字は好きなキャラクターの「カカロット」。孫悟空のサイヤ人名がカタカナでグラブに刻まれていた。たとえ対戦相手のライバルでも、共通の話題が大谷との友好関係をつないだ。元同僚では、昨年エンゼルスでともに戦ったエステベスがアニメオタクだった。同投手の好きなキャラクターはベジータ。大谷とは他にもアニメトークで盛り上がり、ドラゴンボールと同世代に大ヒットした「スラムダンク」も勧められた。

体がボロボロになるまで強敵と戦い、はい上がる-。この繰り返しで、主人公の孫悟空は強くなった。ベジータやピッコロ、ライバルだった存在はやがて仲間となり、ともに戦った。メジャーリーグで大谷は、驚くほど高いレベルの選手と戦い、悔しさを味わい、その度にはい上がった。18年に右肘、19年に左膝、23年に再び右肘を手術。故障を重ねても、さらに強靱(きょうじん)な体で戻ってきた。その姿は、ドラゴンボールの物語とも重なる。

大谷は昨年3月、WBC決勝で米国代表のベッツと対戦した。あの時のライバルと、今度はドジャースの同僚として、ともにワールドシリーズ制覇を目指す。まずは3月20日の開幕戦(韓国・ソウル)で復活することが、世界一への第1歩。打者で万全の準備へ、仕上げに入る。