ドジャース大谷翔平投手(29)の通訳を務めていた水原一平氏(39)の電撃解雇の衝撃が収まらない。水原氏が違法なスポーツ賭博で少なくとも450万ドル(約6億7500万円)の借金を背負い、大谷名義の口座から胴元に振り込まれていたことが発覚して一夜明けた21日(日本時間22日)、米ESPNは20日の開幕戦直後まで大谷が把握していなかった可能性を指摘。AP通信は日本の国税庁にあたる内国歳入庁(IRS)が捜査を開始したと報じた。今後、どうなっていくのか。混迷が続いている。

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水原氏の違法賭博疑惑が米国でもスキャンダラスに報じられる中、大谷が同氏の借金を把握していながら肩代わりしたのかが話題の焦点となっている。水原氏は19日のESPNの取材で大谷が借金の肩代わりをしたと説明。しかし20日には発言を撤回し、大谷は知らなかったとコメントした。

地元紙ロサンゼルス・タイムズ電子版は、大谷が罪に問われるケースを解説する記事を掲載した。賭博法を専門とするウィッティア大学のI・ネルソン・ローズ名誉教授は「もし大谷が違法賭博であることを知った上で肩代わりとして借金を返済していたら、かなり重い罰を受ける」と指摘。MLBの規則上でも「選手らが違法なブックメーカーのために働いたりした場合、最低1年間の出場停止処分を受ける」と定められており、同教授は「もし彼がただ友人を助けるつもりでやったとしても、それは胴元の借金回収の助けになることが分かっていたことになる」との見解を示した。

一方、ESPNは大谷が20日の開幕戦直後まで自身の口座のお金が借金返済に使われたことを知らなかった可能性を伝えた。水原氏は開幕戦直後のクラブハウスでギャンブル依存症であることを告白。実際に19日の水原氏のインタビューを行ったティシャ・トンプソン記者は、球団職員の話として、大谷がこの時に初めて事態を知った様子だったと伝えた。その職員によると、水原氏はミーティングで「申し訳ありません。私にはギャンブルのトラブルがあります」と告白。ある選手が「それがどうしたの?」と聞くと、球団社長が「大谷が借金を払った」と明かしたという。

その瞬間に大谷の様子が変わり、ミーティング後に別の通訳に水原氏の告白の内容を確認しに行ったと伝えた。同記者は20日に水原氏に電話し、大谷が自身のパソコンにログインし借金を肩代わりするために送金したとの話は「うそだった」と伝えられたとも語った。

AP通信によると、日本の国税庁にあたるIRSが水原氏の捜査をしているという。IRSの広報担当は捜査を認めたものの、詳しい状況は明らかにできないとした。大谷の関与に関し、違法ブックメーカーの弁護士は「連絡を取っていた唯一の人間は一平。対面や電話、どんな形であれ大谷翔平とは接触がなかった」と述べ、完全に否定した。

-【一覧】水原一平氏 解雇問題まとめ-https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/202403210000325.html-