米大リーグ機構(MLB)は22日(日本時間23日)、ドジャース大谷翔平投手(29)と、通訳を解雇された水原一平氏(39)について調査を開始すると発表した。違法スポーツ賭博や大谷の口座からの支払いがあったとの報道が出た後、情報を収集していた。米テレビ局ESPN電子版によると、MLBは大谷と水原氏に事情聴取を申し入れる見込み。水原氏が生活苦でギャンブルへ手を出したとの告白も判明した。大谷は24日(同25日)から、本拠地で古巣エンゼルスとのオープン戦に臨む。

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ついにリーグが動いた。大リーグ機構は文書で「MLBはショウヘイ・オオタニとイッペイ・ミズハラに関する疑惑の報道が出てから情報を収集してきた。本日、我々の調査部門(DOI)が、問題の調査を正式に開始した」と発表した。ESPNなどが、水原氏がカリフォルニア州では違法となるスポーツ賭博で借金をつくり、大谷の口座から少なくとも450万ドル(約6億7500万円)が送金されたと報じていた。

ESPNによると、機構は今後、両者に事情聴取を求める意向だという。規則は「違法なブックメーカー(賭け屋)と賭けをした選手や審判員、リーグ職員らは行為の事実や状況に応じ、コミッショナーが適切とみなす処分の対象となる」と定めている。しかし、水原氏は既にド軍から解雇されており、大谷は選手会のメンバーであることから、ともに聴取を拒否できるという。

AP通信は、日本の国税庁に相当する内国歳入庁(IRS)が水原氏を捜査していると伝えている。ESPNは、カリフォルニア州捜査当局と連邦捜査局(FBI)は捜査に関与していないと伝えた。機構の調査期間中、大谷は野球賭博に関与した証拠がないことなどから、試合出場を続行できるとみられる。

◆DOI(Department of Investigations)07年の薬物使用に関する「ミッチェルリポート」を受け、08年にMLB機構内に設置された調査部門。MVP3度のアレックス・ロドリゲス内野手(ヤンキース)を調査し、14年に禁止薬物の使用で全試合出場停止を科した。15年はジャレド・コサート投手(マーリンズ)が違法賭博への関与で罰金となったが「野球には賭けていない」と判断されて出場停止にはならなかった。22年にはトレバー・バウアー投手(当時ドジャース、後にDeNAへ移籍)の性的暴行疑惑に対し、194試合の出場停止とした。