<パドレス1-2ロッキーズ>◇17日(日本時間18日)◇ペトコパーク

 パドレス井口資仁内野手(33)が18日未明(日本時間同日)、メジャー史に残る延長22回の死闘を初体験した。ホームでのロッキーズ戦は今世紀最長、歴代9位の延長戦に突入。井口も「2番二塁」で6時間16分のマラソン試合にフル出場し、9度打席に立ち2四球を選んだが快音はなく、22回に勝ち越し点を許して力尽きた。試合終了は日付も変わった午前1時21分。両軍合わせて42人が出場し、のべ165人が打席に立ち、計659球を費やす消耗戦だった。

 刀折れ矢尽き、策も残っていなかった。パ軍は延長22回裏、死球で無死一塁の同点機を併殺でつぶした。さらに四球で粘ったが、14回で野手を使い果たしており、7番手ラッシュをそのまま打席に送るしかなかった。打撃のいいマダックスがいたが、18日に大台350勝をかけた先発を控えても23回に備えてスタンバイ。さすがにブルペンから代打で呼び戻すこともできず、この日が2年ぶりの打席だったラッシュは2-2から151キロ直球をぼうぜんと見送った。その瞬間、ホームのパ軍ベンチは脱力感に襲われた。

 パ軍は右腕ピービ、ロ軍は左腕フランシスの両エースで午後7時5分開始。投手戦こそ覚悟したが、メジャー記録にあと4回まで迫る総力戦は予想外だった。延長13回を終えて0-0。特にパ軍は元気なく、2回1死でバードの単打を最後に、10回1死まで1人の走者も出せなかった。

 13回は先頭マカナルティが右越え長打も三塁を欲張って憤死。続いて、先発投手ウルフを代打起用し左前打を放つ奇襲も実らなかった。投手陣は球団記録に並ぶ1試合20奪三振。最後までマスクをかぶり、14回に同点打の捕手バードは、「22回で2失点なら勝って当然だろ!」とやり場のない怒りをぶつけた。

 無安打の井口は「お互いにチャンスを生かせなかった。これまで17回ぐらいが最高だったので、いい経験になった」と苦笑い。疲労からかホワイトソックス時代に延長19回、自らのサヨナラ打で勝ったことも忘れていた。

 発表約2万6000人の観衆も、試合終了まで見守ったのは数えるほど。「私を野球に連れてって」は7回ごと計3回流れたが、21回表終了時はメロディーだけ閑散としたスタンドにこだました。パ軍はロ軍との延長戦では苦杯続きで、昨季も1ゲームプレーオフで延長13回、2点リードを守れずプレーオフを逃した。ブラック監督は「ここにいた選手もファンも、忘れない試合になるはずだ」と話す声には力がなかった。