【ピオリア(米アリゾナ州)3日(日本時間4日)=四竈衛】出血をともなう胃潰瘍(かいよう)のため、メジャー9年目で初の15日間の故障者リスト(DL)入りしたマリナーズ・イチロー外野手(35)が、4日ぶりに練習を再開した。症状についてはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)第1ラウンドからみぞおちに「だるさ」を感じたと明かした。ただ深刻さはなく、出場可能となる15日(同16日)のエンゼルス戦(シアトル)に「出ます」と断言。復帰へ、万全の準備をする姿勢を示した。

 チームがラスベガスへ移動した後、約1時間の練習を終えたイチローにメジャー初となるDL入りした重苦しさはなかった。ストレッチ、ジョギング、キャッチボール、ティー打撃。こまめに水分を補給するが、笑顔は絶えなかった。

 イチロー

 どうってことはないです。僕は(開幕から)やるつもりでしたから。ただ、ダメと言われたからしょうがない。ここで(球団と)ケンカするわけにもいかないですから。

 もっとも、練習に姿を見せなかったここ数日間は、「重症」だった。異変を感じ始めたのは、東京で行われたWBCの第1ラウンドだったと明かした。

 みぞおちに、不定期ながら「痛みというか、だるさ」(イチロー)を感じ始めた。ただ食欲はいつも以上に旺盛で、深刻に考えることはないまま、戦い続けた。その間の不振と胃潰瘍との因果関係はわからない。だが、最後に決勝戦延長の極限状態の中で決勝打という結果を出した。その後、マリナーズ復帰後の30日の試合中、「これは確かにおかしい」と感じるほどのめまいに襲われて途中交代。医師の診断で胃潰瘍による出血が認められた。すでに出血は止まっているが、激しい運動は控えるように勧められたという。

 イチロー

 確かに、兆候はありましたが、どれほど深刻なのか分からなかった。過去に経験がないですし、今思うと信号は出ていたんでしょうね。

 ズレンシックGMとは、毎日、連絡を取り合いながら今後の復帰を探った。6日(同7日)の開幕ツインズ戦(ミネアポリス)出場を重視するイチローと、休養・安静を勧める首脳陣の見解に違いはあったが、最終的にはイチローも納得した。DLには3月31日にさかのぼって登録されるため、復帰は最短で15日(同16日)の本拠地シアトルでのエンゼルス戦となる。

 イチロー

 (開幕からの欠場をプラスに)とらえることはできませんが、8試合出場できないだけ。開幕にいないのはつらいですし、悔しいのは、僕が出られるのに止められること。ただ、球団の考え方も理解はできています。

 メジャー8年で休養のために16試合休んだだけ。「(15日に)出ます。(開幕に出るつもりだったのだから)出ないわけがない」とも言い切った。現時点では、投薬治療しつつ、体力回復を最優先。温暖なアリゾナで体調を整えていく。

 イチロー

 ただ、(知人から心配する)メールが少ないんですよね。

 当初、この日の練習はマリナーズ側が取材を規制。その規制を自ら解除してまで応対したイチローの笑顔は、心配をかけた日本のファンへのメッセージだった。