<ヤンキース2-4レンジャーズ>◇3日(日本時間4日)◇ヤンキースタジアム

 【ニューヨーク3日(日本時間4日)=大塚仁】今季で4年契約が切れるヤンキース松井秀喜外野手(34)の来季契約に関し、ブライアン・キャッシュマンGM(41)が白紙を強調した。レンジャーズ戦の試合前に会見を行ったが、「再契約の可能性はほぼゼロ」とする地元紙の報道について「FAになる選手の評価はシーズン終了後」と語るにとどめた。報道を否定も肯定もしなかった格好。この日の松井は4打数無安打に終わっており、評価を高めるためにはより一層の奮起が求められそうだ。

 キャッシュマンGMは慎重な口ぶりに終始した。「松井不要論」を展開するニューヨーク・ポスト紙によれば、球団幹部が「活躍に関係なく来季再契約する可能性はほぼゼロ」と証言しており、「松井は今季限り」が既定路線であるとされる。報道について問われた同GMは「松井の契約に関する話し合いはまだ始めていない。デーモンやモリーナと同じで、フリーエージェントになる選手についてはシーズンが終わってから話し合う」とかわし、結論はあくまでシーズン終了後との姿勢を強調した。

 「不要論」を認めてはいないが、完全に打ち消したとも言いがたかった。Aロッドやジーターのような大物になれば、キャンプ中から交渉をスタートさせ、FAになる前に早々と契約を結んでしまうのが常とう手段。1300万ドル(約12億3500万円)という高額な年俸、両ひざに不安を抱えるためDHオンリーというのがネックとなり、現状の松井はそうした状況にはない。ただ超大物クラスを除けば、1月末にようやく残留が決まった今季のペティットのように、早期に結論を出さないケースもあるため、同GMの言葉通り「白紙」が実際の状況とみられる。

 松井は地元紙の報道に対し「それは僕にとってはまったく気にならないし、ユニホームを着ている以上はチームのためにプレーするだけ」と開幕前と同じ言葉を口にした。時期的なこともあり「契約とかそういうことは今はまったく考えていない。シーズンが終わるまではしっかりやるだけです」とあくまでレギュラーシーズンに集中する姿勢を強調する。雑音は耳に入っておらず、また入れるつもりもなかった。

 すべては3分の2以上の試合を残している今後の活躍にかかってくる。この日は初対戦の先発フェルドマンらに苦しみ、先発した試合では5月29日以来の無安打に終わった。「球威がありましたから、ある程度(カットボールを)予想してても詰まらされてしまった」と振り返る。チームも敗れ、勝ったレッドソックスに地区同率首位で並ばれた。不要論を吹き飛ばし、球団幹部を納得させるには、バットでさらなるインパクトを生み出すしかない。