レッドソックス松坂大輔投手(30)が悲劇を嘆いた。7日、都内のホテルで行われた「東尾修氏の殿堂入りを祝う会」に出席。ポスティングシステム(入札制度)でメジャー移籍を目指した楽天岩隈久志投手(29)が交渉決裂したことについて「クマ(岩隈)が犠牲になった」と発言し、制度見直しを求めた。岩隈には激励の連絡を入れ、早ければ来季に取得できる海外FA権でのメジャー移籍を勧めた。自らの目標には「あと8年で250勝」と師匠の“東尾超え”を誓った。

 恐れていた事態が、ついに起きた。制度の不安を感じながらも入札制度で海を渡った松坂だからこそ、岩隈の無念が痛いほど分かった。交渉が不成立となった話題になると、表情を曇らせ「クマ(岩隈)が犠牲になった。すごく悔しい思いをしたと思う。僕にもそうなる可能性はあった。こういうことが起きないと、何も動かない。改めて考える必要が出てきた」と第2の犠牲者を出さないためにも、制度の根本的見直しを訴えた。

 WBCでチームメートだった岩隈には、激励の連絡を入れたことを明かした。「あと1年は長いけど、好きなところに行けるように頑張れと言いました。僕に答えられることなら、何でも答えたい」と後輩を気遣った。移籍先を選べない点など、入札制度には限界がある。岩隈が来年にも取得できる海外FA権で移籍する方法での“リベンジ”を求めることでしか、励ます方法はなかった。

 自らの気持ちも新たにした。この日は、西武時代の恩師にあたる東尾氏の殿堂入りを祝う会に出席。壇上でマイクを向けられ「大事に育ててもらい、今あるのも東尾さんのおかげです」と感謝の思いを口にした。今季まで日米12年で154勝。20年で251勝した東尾氏の通算成績を引き合いに出し「この2年間の成績じゃダメだと思ってます。あと8年で250勝にしたい」と新たな目標を掲げた。岩隈が立てなかったメジャーの舞台で、近年の不振を吹き飛ばす“リベンジ”を誓った。【柴田猛夫】