<レンジャーズ7-1ダイヤモンドバックス>◇1日(日本時間2日)◇レンジャーズボールパーク

 レンジャーズのダルビッシュ有投手(26)が14奪三振を奪う快投で、日本人投手3人目となる入団から2年連続の2ケタ勝利を挙げた。後半戦に入り、格段とよくなったフォーシームを軸にスライダーや高速スプリットを織り交ぜて、ダイヤモンドバックス打線を7回無失点と圧倒。ダ軍からは前回5月27日の対戦でも14三振を奪い、1シーズンに同じ交流戦の対戦相手から12奪三振以上を2試合記録するという史上初の出来事まで生まれた。

 今季最高気温38度(試合開始時)を記録した夏本番のテキサスを、ダルビッシュが奪三振ショーでさらに熱くした。力みのない投球フォームから、直球、変化球が次々決まる。初回すべてのアウトを三振で奪い、2回も先頭に安打されてから3者連続で空振り三振。前回の対戦で1発を浴びたグリゴリアスは直球とカーブで揺さぶった。

 序盤は最速98マイル(約158キロ)の速球でストライクゾーンを攻めた。最速94マイル(約151キロ)の高速スプリットを織り交ぜながら、打者の脳裏にスピードをインプット。2回以降増やしたスライダーは「横に大きく曲がったり、縦に大きく落ちたり、小さく落ちたり。それで(打者が)戸惑ったのかなって思います」と不安定ながら、面白いように空振りを奪った。

 3回から6回も毎回2三振ずつ積み重ね、今季4度目の14奪三振をマークした。ノーラン・ライアン球団社長が90年に樹立した3試合を超える球団新記録を打ち立てた。「三振を(多く)取れるとは思ってなかった」と振り返る。7回無失点で日本人投手で3人目となる入団から2年連続の10勝到達。際立ったのはフォーシーム(直球)だった。

 パワーあふれる直球を取り戻した背景には、故障者リスト入りした期間の試行錯誤がある。投球動作中に生まれたパワーを、ボールに無駄なく伝えるためにはどうしたらいいか。以前は「横振りで投げていた」というが、「上から投げるような意識」に変えた。「力を抜いて投げることで、球に滑らかに力が伝わる」ことも発見。一皮むけた直球が手に入った。

 昨季は7月から8月にかけフォームやメンタルを崩し、3週間以上白星のない「野球人生では初めての経験」というスランプがあった。それを糧に飛躍。「去年より安定した投球ができている」という今季は、現状に満足しない向上心が成長の原動力となっている。世界一という目標に到達するためにも、日々進化を続ける。(アーリントン=佐藤直子通信員)<ダルビッシュ記録メモ>

 ◆1試合14K

 シーズン4度はメジャーでは04年ジョンソン(Dバックス)以来で、90年ライアンの3度を上回る球団記録。

 ◆史上3人目

 シーズン3度の無四球で14三振以上を奪ったのは97年クレメンス(ブルージェイズ)、01年ジョンソン(Dバックス)に続いて3人目。またシーズン2度の無四球無失点で14K以上は、00年P・マルティネス(Rソックス)以来史上2人目。

 ◆歴代2位

 この日がメジャー50登板目。デビューから50戦で16度の2ケタK、計407Kはいずれもグッデン(メッツ)の20度と418Kに次ぐ歴代2位。