オリックスがアクシデントを乗り越え、初の3連勝を決めた。カード勝ち越しも今季初めてだが、苦難の一戦は先発バリントンの危険球退場で始まった。2回2死まで無安打が一転、西武森に痛恨の頭部死球。わずか5球の投球練習で登板したのは前田。さすがに肩をつくれないままの今季初登板では連打を浴び満塁としたが何とか0を刻むと、勝利への道が開けていった。

 直後の攻撃で中島からの3連打などで1点を先制。さらに2死満塁で糸井が2点打を中前に運んだ。森脇浩司監督(54)も「アクシデントの後のすさまじい集中力だった」と絶賛の4点9人攻撃だったが、舞台裏ではさらなる異変が起きていた。中島がヒット後の走塁で右太もも裏を痛め、初の途中交代。4回の守備で糸井が背走しながら転倒しでん部を打撲。8回から交代となった。

 不穏ムードの中で踏ん張ったのは救援陣。4回。1点を返され、なおも無死二塁で登板の3番手マエストリが3者連続三振でピンチを脱し、3回2/3を無失点。海田も続き、9回は馬原がソフトバンク時代以来4年ぶりセーブで締めた。「チームが勝つのが一番」(馬原)。移籍後初のセーブ球は2年ぶり白星がついた前田にプレゼント。やっとみんなが笑顔になれた。

 阪神・淡路大震災から20年。西武2連戦は「がんばろうKOBE」と銘打たれ、95年Vの復刻ユニホームで意地を見せた。森脇監督も感慨深げ。「ファンの雰囲気も違ったし、総力戦で神戸と一丸で勝った試合。このタイミングで神戸で試合ができたことに感謝したいし(浮上への)きっかけにしたい」。借金はまだ9ある。中島らの負傷も予断できないが、チーム復興へ、とにかく前に進むだけだ。【松井清員】