楽天のドラフト1位右腕、安楽智大(18)が公式戦3試合目で初先発し、課題を残した。本拠地コボスタ宮城での初登板となった日本ハム戦は、3回1死から3連打を浴びて1点を許したところで降板。クイックモーションからの投球では速球の威力が落ち、フォームもまだ試行錯誤。ただ酒井勉2軍監督(51)は大事に育てていく方針で、練習や実戦を積ませながら素材を磨いていく。

 クイックモーションになって、安楽が崩れた。コボスタ宮城も先発も2イニング以上投げるのもプロ初。2回まで無安打と好投していた右腕は、3回1死から二塁打、単打、単打と3連打を浴びる。「クイックになってからボールの威力が落ちる。しっくりとしたフォームで投げられてない」と反省した。同点にされ「あそこで投げさせたらストレスがたまる」と酒井2軍監督は交代を命じた。2回1/3、3安打1失点のほろ苦い内容だった。

 36歳のベテラン投手小山伸から「ストレートがいいから入ってきたのに、変化球で抑えても2、3年後には壁に当たる」と助言され、投じた47球の約9割が速球。だが最速157キロを誇る球は143キロ止まり。奪三振は1つに終わった。

 3月中旬に右足首を捻挫し、投球できない日が続いた。物足りない球威や、クイックで思い通りにならないのは、その影響がある。酒井2軍監督は「肩、肘の筋力が戻っていない」と分析。理想は済美(愛媛)2年時の春夏甲子園で見せた独特の「グニャグニャ」としたフォームという。

 平日では異例の2024人のファンが集まった。安楽は「応援してもらったのに結果を残せず悔しい」と話した。酒井監督は「最初の先発としては十分でしょう。多少時間がかかるかもしれないが、じっくり大きく。将来は(1軍)先発ローテ。今は準備期間」と長い目で見守る。

 1軍クラスの投手の調整登板などで、今後は中継ぎ起用となる見込み。課題克服には「試合で投げるのが一番勉強になる」と安楽。楽天の次代のエース候補は、実戦を重ねながら復調への道を探っていく。【久野朗】