マー君の再来なのか。ユニバーシアード競技大会(7月6~11日、韓国・光州)に出場する来秋ドラフトの超目玉、創価大・田中正義投手(3年=創価)が、ヤングプロから圧巻の7者連続三振を奪った。3回から2番手で登板し、最速153キロをマーク。4回8奪三振で、無安打無失点に抑えた。ネット裏に集まった12球団のスカウトや編成担当、大リーグ関係者など100人以上の球界関係者から絶賛の声が上がった。試合はNPB選抜が3-2で大学日本代表に勝利した。

 外角低めに、田中の自慢の直球が伸びる。3回1死、5番のオリックス武田に対して、153キロ、152キロで追い込むと、最後は糸を引くように外角低めいっぱいに、152キロを投げ込んだ。原点と呼ばれる直球の圧倒的な力に、心地いい夜風が吹く神宮が沸き返った。3球三振で、奪三振ショーの幕開けだ。

 続く6番、西武石川貢はフォークで空振り三振。4回は巨人のドラフト1位ルーキー岡本から、外角低め149キロの直球で空振り三振を奪った。この回3者連続で5者連続三振。「追い込んでから、甘くならないように投げた結果」と言った。さらに5回は149キロ直球、149キロ直球で連続空振り三振に打ち取り、プロを相手に7者連続三振をやってのけた。

 「変化球の精度は良くなかった」と自己評価は厳しいが、各球団の編成トップが集まったネット裏では絶賛の声が続出した。楽天立花陽三球団社長(44)は「すごいな、来年絶対取るよ! スカウト陣も満場一致だね。名前も(ヤンキース田中と同じ)田中だし、絶対行く!」と大興奮。「田中正義」と書いて「まさよし」ではなく「せいぎ」と読むが、東北の歴史を変えた絶対的エースと重ね合わせた。

 6回は108キロのカーブで見逃し三振を奪うなど、4回8奪三振で完全投球。創価高では1年冬にケガなどで投手をあきらめ、外野手に転向。3年時は4番として活躍したが「打つより投げる方が好きという単純な理由」と、大学入学後に投手に再挑戦した異色の経歴を持つ。そんな155キロ右腕が、2万649人のファンの目をくぎ付けにした。

 7月6日に開幕するユニバーシアード競技大会に向け「日本は金メダルを取ったことがないので、優勝に貢献したい」と言った。誰もがほれ込む直球の力。「日本のエース」として、米国や地元韓国を相手に、思う存分腕を振る。【前田祐輔】

 ◆田中正義(たなか・せいぎ)1994年(平6)7月19日、横浜市生まれ。小学1年から投手として野球を始める。創価高に投手として入学したが1年秋に野手転向。3年夏は西東京大会4強。今春リーグ戦は6勝0敗、防御率0・40で最多勝利と最優秀防御率。家族は両親、兄、姉、妹。186センチ、89キロ。右投げ右打ち。