黄金時代長期化への巨大基地が誕生する。ソフトバンクは来年3月から、福岡・筑後市にファーム本拠地を移転する。「HAWKSベースボールパーク筑後」と名称が内定した7万1643平方メートルの巨大な敷地の中には、50億円前後の総工費をかけ、人工芝のメーン球場、天然芝のサブ球場、そして12球団で一番大きな室内練習場ができあがる。

 新たな鷹の巣が、姿を現しつつある。現在は工事の進捗(しんちょく)状況は4割ほどだが、それぞれの輪郭はしっかりと見えてきている。筑後ファーム準備室室長を兼務している三笠杉彦球団統括本部副本部長(41)は「予定通りに工事は進んでいます。今まで3軍は練習場所を確保するのも大変だった。2軍の公式戦は有料試合になる。お客様にたくさん見てもらえれば選手は育つ。(有料になることで)プロの自覚を持つことになる」と話す。

 今まで雁の巣での2軍戦は基本無料だった。来季は1000円前後の入場料を取る予定。7、8月はナイターも数多く開催され、3500人を収容するメーン球場で、より1軍に近い形で試合を行うことになる。

 広さは中堅122メートル、両翼100メートルで、ホームランテラスを外した時のヤフオクドームと同じだ。人工芝はミズノ社のものを12球団で初めて採用する。より天然芝に近いタイプ。クッション性が高く、踏み込んだ時に足が滑りにくくケガもしにくくなる。光の照り返しも軽減され、真夏の練習にも適している。

 65メートル×65メートルと12球団で一番広い室内練習場も自慢の1つだ。西戸崎合宿所は50メートル×50メートルだった。打撃マシンは4レーン設置され、そのうち2つは「バッティングセンター仕様」となっている。自動で打った球がマシンへ戻るので、1人で黙々と練習できる。リハビリ用の小さな流水プールもある。トレーニングルームもヤフオクドームと同等の広さ、器具をそろえる。

 周囲には現在、田んぼしかなく夜中でも練習することは可能。恵まれた環境を生かし、実力をつけた若鷹たちが大きく成長し、1軍に大きな刺激を与え続ければ、選手層はさらに厚くなる。

<主な施設>

 ◆メーン球場 1時間50ミリの雨が降っても対応できる人工芝の吸収力のよさも売り。フェンスの高さはホームランテラスと同じ4・2メートル。

 ◆室内練習場 屋根の高さは23メートルで防球ネットまでの高さは18メートル。ブルペンは6カ所設置される。

 ◆選手寮 食堂は現在の西戸崎合宿所より広く明るくなる。選手の部屋も現在より広くなる予定。

 ◆アクセス JR筑後船小屋駅から徒歩3分。来客用の駐車場は240台。