巨人先発のマイルズ・マイコラス投手(27)が、最強助っ人の称号を得た。7回1/3を投げ被安打5の無失点。相変わらずの無双っぷりで12勝目を挙げ、自身の連勝を10まで伸ばした。来日1年目に2ケタ連勝した外国人投手は初めての快挙。「誇りだしうれしいが、終わった後に重みを実感すればいい」。マウンドと変わらず堂々としていた。

 7回2死、広島野間への4球目だった。「真っすぐで三振を狙う状況」。左足が着地してからなかなか腕が出てこなかった。力をため込んだ最速の154キロで空振り三振を奪った。角度と闘争心に日本流の精度を加え、敵なしの状態にまで高めた。「四球なしが大きかった。春先は追い込んでからが甘かった」と、自ら進歩を感じ取った。

 好投を重ねるたび、ネット裏の視線が熱気を帯びていく。この日もインディアンス、パドレス、ジャイアンツなど、メジャー複数球団が投球をチェックした。某球団の担当者は「詳しいことは言えない。10回は彼の投球を見ている。安定感がある」。本気度と比例して口が重くなってきた。

 志半ばで海を渡り、1年たたずに資質を認められるにまで成長した。「見事。マークされた中で自分のピッチングができる」と、深い信頼を置く原監督。掘り当てた編成担当者の眼力。鍛え上げたコーチの力量。マイコラスは巨人が磨き上げた宝だ。メジャーに負ける気など毛頭ない。日本一まで負け知らずで腕を振ってもらい、全力で引き留めるだけだ。【宮下敬至】

 ▼マイコラスが6月20日中日戦から10連勝。巨人投手の2桁連勝は02年6~8月に上原が10連勝して以来、13年ぶりになる。外国人投手の2桁連勝は64年スタンカ(南海=5年目)が11連勝、88年郭泰源(西武=4年目)が10連勝したのに次いで3人目。セ・リーグの外国人投手では初の2桁連勝となり、来日1年目で10連勝したのはマイコラスが初めてだ。