阪神マット・マートン外野手(33)が、今季限りでの退団が濃厚であることが25日、明らかになった。昨季の首位打者は今季、打率2割7分9厘、9本塁打にとどまる。シーズン佳境に再び不振に陥り、優勝争いから後退する要因になった。推定4億5000万円の高年俸に加え、チームカラーを変えるためにも、虎を去ることになりそうだ。

 阪神が来季の巻き返しに向けて断を下す。主力のマートンが16年の戦力構想から外れていることが判明した。今季も主軸として期待されたが、開幕直後から球審の判定に不満をあらわにするなど、精神的な浮き沈みの激しさを見せていた。タイガースでのプレーは6年目に入り、球団首脳はマンネリ化を指摘し「マートンは、うちでは、もうやり尽くした。燃え尽きた感じがする」と評していた。

 来日1年目の10年に日本新記録のシーズン最多214安打をマークするなど、過去3度、最多安打に輝いた。昨季は打率3割3分8厘で首位打者。バットコントロールは卓越し、ヒットを量産する技術はいまも球界屈指だろう。だが、今季のチーム事情に合致しないのも事実。球団関係者が「今年のマートンなら、日本人でもカバーできる」と指摘するように、長打力が足りないのも問題点だ。

 今季のチーム455得点はリーグ最少で、合計78本塁打もリーグ5位だ。深刻な得点力不足にあえぎながらも優勝争いを展開したが苦戦は否めない。本来ならロングヒットは助っ人にこそ求められる役割だが、マートンが今季1号を放ったのは、6月20日ヤクルト戦(甲子園)で来日以来、最も遅い65試合目。今年は9本塁打にとどまり、迫力不足を露呈している。

 打率こそ一時は持ち直して2割9分8厘まで上げたが、9月に入ると再び球審の判定にナーバスになり、調子を落としてしまった。好不調の波は激しく、成績不振に陥っている。チームカラーを一新したい球団の思惑があり、また高額な推定年俸4億5000万円もネックになっている。来季は35歳になるシーズン。大幅減俸を受け入れ、新監督のニーズに合えば残留する可能性も残るが、今季限りでの退団が濃厚な情勢だ。

 すでに本社、球団間ではシーズン終盤までに外国人選手の去就について話し合い、マートン放出の方針で意見確認。それを受けて中村GMは渡米し、新外国人調査を行っていた。本塁打量産を期待できる大砲もリストアップしており、精査することになりそう。

 前日24日には坂井オーナーと南球団社長が神戸市内で緊急会談を行い、中村GM亡き後の編成方針を確認した模様。チームを変えるため痛みを伴いながらも、抜本的な改革に乗り出す。

 ◆阪神のおもな助っ人事情 来日2年目のマウロ・ゴメス内野手(31)は来季の去就が微妙な状況だ。もっとも期待された本塁打数は昨年の26本塁打から減少は確実。ここまで17本塁打にとどまる。新監督の要望があれば、残留する可能性も残されているが、単年契約を終えて注目される。今季、リーグトップの41セーブを挙げる呉昇桓投手(33)はすでに下交渉に入っている模様。また、ランディ・メッセンジャー投手(34)は今季、2年契約2年目を終えるが、11月以降に契約更新する見通し。