阪神が逆王手をかけた。巨人とのクライマックスシリーズ(CS)第2戦。1回、2死二塁から4番マウロ・ゴメス内野手(31)が左中間へ先制2ラン。さらに5番マット・マートン外野手(34)も続き、ポストシーズン初の助っ人2者連続アーチをかけ、巨人菅野に痛烈なパンチを浴びせ4回降板に追いやった。阪神は1勝1敗のタイに戻し、逆転でのファイナルステージ進出に挑む。

 2球連続の「グシャッ」という衝突音に、2人の絆を見た。ゴメスとマートンが速攻の3点奪取で崖っぷちの虎を救い、名コンビとして歴史に名を刻んだ。

 ゴメス 菅野には抑えられることが多かったけど、今までのことは関係ない。

 1回表2死二塁、4番ゴメスが菅野のスライダーを左中間席中段に突き刺した。先制2ランに5番マートンも続く。右足親指の痛みを感じさせず、初球の内角直球系を強振。長い滞空時間で左翼席中段に運んだ。

 マートン 昨日は悔しい敗戦になってしまったから、その悔しさをぶつけるんだという気持ちだった。

 前日10日は延長10回サヨナラ負けを喫し、引き分け以下でCS敗退が決まる。相手先発は今季5度の対決で防御率1・18と抑え込まれていた菅野。「悲壮感だけは持たずにいこう」。和田監督が号令をかけ、1番鳥谷、3番福留、5番マートンの従来型打順に戻した一戦。コンビ結成2年目で初のGM砲連続弾は、ポストシーズン史上初の外国人選手連続アーチとなった。

 マートンの15年は苦難の連続だった。前半戦は絶不調から精神の浮き沈みが激しく、時にはロッカーに打撃用手袋を投げつけた。「はしゃいでチームを盛り上げようと思っても、このガイジンは頭がおかしくなったと思われるんじゃないかって、ふと考えてしまう」。そんな状況でもゴメスへの気遣いは忘れなかった。

 日本人投手の配球を伝え続け、子供が誕生すればプレゼントを贈った。早出特打にも付き合った。「僕らはちょっと打てなかったら、もうダメだという目で見られる」。外国人選手にしか分からない悩みを、後輩には抱かせたくなかった。

 マートンは今季限りでの退団が決定的。GMタッグを1日でも長く-。熱い思いが歴史的連続弾につながった。今日12日も勝てばファイナルステージ進出が決まる。またも苦手なポレダを相手に、指揮官は「明日が本当の勝負」と腕ぶした。逆襲ロードはまだ、封鎖させない。【佐井陽介】

 ▼阪神は初回にゴメス、マートンが連続本塁打を放った。プレーオフ、CSで2者連続本塁打は14年ファイナルS第4戦のマートン→福留(阪神)とセペダ→坂本(巨人)以来11度目となり、外国人打者の連発は初。日本シリーズでも外国人打者のアベック本塁打は過去6度あるものの、続けて打ったケースはなく、外国人打者2人が続けて本塁打はポストシーズン史上初めてだ。ポストシーズンでゴメスのV打は昨年のファイナルS第3戦、日本シリーズ第1戦に次いで3度目。ポストシーズンでゴメスが打点を挙げない時の阪神は2勝5敗1分けも、ゴメスが打点を記録した試合は14年CS○○○、14年シリーズ○、15年CS○の5戦5勝だ。