中日高橋聡文投手(32)が9日、名古屋市の球団事務所を訪れ、FA行使の申請書を提出した。締め切りギリギリの電撃宣言に「14年間やってきて、他球団の評価を聞いてみたい気持ちもあった。使いたいと言ってくれるところでやりたい気持ちがある」と心境を語った。中日は慰留する方針で今日10日、初交渉を行う予定だ。

 前日8日に西山球団代表や一部の関係者に権利行使の意向を伝えた。「みんな素でびっくりしていた。ノーマークだったんじゃないですか(笑い)。監督もちょっとびっくりしていたと思う。『自分の権利だから』と言ってくださった」。周囲を驚かせるFA宣言となった。昨年に初取得したFA権だったが「去年は早くに残ってくれという話があった。今年はそれがなかったので、考える期間があった」と今年は球団からの慰留がここまでになく、行使に至ったという。中日ではこのオフ第1号となった。

 推定年俸3000万円で補償の必要がないCランク。かつてセットアッパーとして活躍した貴重な中継ぎ左腕だけに、獲得に名乗りを上げる球団も出てくる模様だ。今季の1軍登板は35試合で防御率3・51と振るわなかった。しかし、10年にはキャリアハイの63試合に登板し、4勝1敗35ホールドポイントを挙げていた。「もっとよくなる気もする。2010年とはスタイルが違うけど、やれる自信はある」と力を込めた。11日に公示され、12日から国内球団との交渉が解禁される。

 ◆高橋聡文(たかはし・あきふみ)1983年(昭58)5月29日、福井県高浜町生まれ。富山・高岡第一では2年春にセンバツ出場し初戦敗退。01年ドラフト8巡目で中日入団。10年はセットアッパーとして自己最多63試合に投げ、リーグ優勝に貢献。176センチ、85キロ。左投げ左打ち。