高山よ、焦るな-。阪神金本知憲監督(47)がドラフト1位指名の明大・高山俊外野手(22)をじっくりと育てる姿勢を示した。即戦力として来春1軍キャンプの期待が高まるが、10月26日に右手首骨折の手術を受け、現在リハビリ中。指揮官は来年1月の状態次第では2軍キャンプスタートの可能性も示唆し、焦らせない方針を打ち出した。

 あのドラフトから1カ月、王者ヤクルトとの競合を制して指名した高山は仮契約を終えた。あとは入団発表を待つばかりとなった今、次の注目は来春以降の動向だ。ただ、金本監督は大物新人への周囲の期待を制するように、慎重な姿勢を示した。1軍キャンプの可能性について問われると、こう答えた。

 「今から。とにかく、見てからやね。ルーキーはそんなに焦る必要はないんじゃないかな? そう思うけどね」

 高山は東京6大学リーグ歴代最多安打記録を打ち立てた。記録保持者の肩書を引っ提げてプロの門をたたく大物新人だけに即戦力の期待も高まる。だが、指揮官は軽々に1軍キャンプと決めつけることはなかった。あくまで来年1月の状態を見て、コーチ会議で話し合ってからの決定になる。その上で「焦る必要はない」と、2軍キャンプスタートも示唆した。

 高山は今秋のリーグ戦で右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折し、手術を受けた。来春キャンプには問題ないとされているが、周囲の期待にあおられて、焦ることで状態が落ちる可能性もある。金本監督は手首の故障についても、じっくりと見定める姿勢を示した。

 「今はリハビリもしっかりしているしね。そういう時代。後遺症なんか残らないようにちゃんとケアしていると思うし、競争の中に入ってキャンプ2月1日からばりばり打って、投げて走って、やってくれたら理想だけど、そんな焦らしてもだめだし」

 今オフはFA権を持つ中日の藤井ら外野手を調査していたが、結局、補強は封印した。マートンが抜けた左翼、そして、レギュラーが固定されていない中堅は若手の大争奪戦が期待される。高山も当然、その候補の1人で、理想はキャンプインから競争することだという。ただ、人気球団のドラフト1位はただでさえ周囲にあおられる。指揮官に無理にでも1軍キャンプという考えはないようだ。自ら「長距離打者として、将来クリーンアップを打てる」と判断して獲得した大器は金本流で、じっくりと育てるつもりだ。【鈴木忠平】

 ▼阪神の新人がキャンプ2軍スタートから開幕1軍入りした最近の例は、07年の清水誉捕手(06年大学・社会人4巡目=関学大)がいる。清水は2月20日からの2次キャンプで1軍に合流。オープン戦12試合に出場し、開幕ベンチ入りを果たした。近年ではほかに、05年の橋本健太郎投手(04年4巡目=日本新薬)が、2軍キャンプ終了直前の2月23日から1軍に同行。オープン戦6試合で防御率0・96と好結果を残し、開幕1軍を勝ち取っている。