日本人最速162キロ右腕の日本ハム大谷翔平投手(21)が、自己流トレーニングで周囲を仰天させた。9日、2軍施設のある千葉・鎌ケ谷でマシン打撃などの自主練習を行った。キャッチボールの後には、上空約30メートルの高さまでボールを投げ、自ら捕球する練習もこなした。目的について多くは明かさなかったが、周囲が驚く珍しい練習を公開した。

 騒然となったのは、大谷のキャッチボール直後だった。相手を務めた渡辺がロッカー室へ引き上げたにも関わらず、大谷はセットポジションの体勢に入ると、そのまま投球動作を進めた。違ったのはボールを投げた方向。腕をしならせ、思いっきり上空へと放り投げたのだ。

 しかも、10球近くも連続で。「いろいろ考えてやっています」。意図は明かさなかったが、単なる“お遊び”ではなく、しっかりと考え出された自己流の練習法。地面に寝ころんで真上にボールを投げる練習は広く知られており、指先の感覚、ボールの回転などをつかむトレーニングだが「それも含めてですね」と、他にも狙いがありそうだ。

 投手3冠を獲得した今季でも「(上達の)ヒントは失敗からいろいろ出ている」と満足はない。来年2月のキャンプインへ向け「2カ月は、時間があるようでないと思っている。やりたいなと思うことはたくさんある」。さらなるレベルアップへ、一日も無駄にはしていない。

 なぜ周囲が騒然となったのか…。それは、大谷の投げたボールが、約20メートルの高さがあるスコアボードを悠々超え、重力に逆らってグングンと伸びたから。目撃した浦野は「普通あんなに上がらないですよ。すごい」。同じ投手として衝撃を受けていた。栗山監督の著書「未撤在」も購入し、オフは読書にいそしんでいる大谷。「ゆっくりしながら練習ができる。楽しい期間だと思います」。充実のオフを過ごしている。【本間翼】