今秋ドラフト1位候補で、3月5、6日に行う侍ジャパン強化試合、日本-台湾戦(5日ナゴヤドーム、6日京セラドーム大阪)への招集が決定的だった創価大・田中正義投手(3年=創価)が出場を辞退する可能性が12日、濃厚となった。疲労の蓄積で状態が上がらないためで、アマチュアの目玉右腕の選出は厳しい状況となった。昨秋のプレミア12のメンバーを主体とした日本代表28人は、15日に発表される。

 最大の理由は疲労の蓄積にあった。田中は年末年始も休まず、創価大としての初の日本一と、侍ジャパンのトップチーム入りを目標に置き練習を続けてきた。1月23日からブルペン入りしていたが、思ったように調子が上がってこなかった。プロのトップ選手に交じって戦う機会を楽しみにしてきたが、不調のまま実戦登板する不安は大きい。関係者と相談した上で辞退する方針を固めたようだ。

 昨年までは1月に投球練習をすることはなかったが、今年は侍ジャパンに招集される可能性もあり、例年より前倒しして調整を進めていた。だが、先週あたりから疲れが見え始めた。もし招集されたとしても、現状では100%のパフォーマンスができないと判断した模様だ。

 最速156キロを誇る田中は、今秋ドラフトの目玉右腕だ。東京新大学リーグでは、50イニング連続無失点を継続中。昨年6月に大学日本代表として出場したNPB選抜との壮行試合では7者連続三振を奪い、神宮球場に集まったプロのスカウトの視線をくぎ付けにした。史上初となる12球団競合の可能性を持つ逸材に、アマチュア選手として一足早い侍ジャパン入りが期待されていた。

 田中は先月、「まだ正式(発表)ではありませんが、選んでいただけたらプラスになると思います」と侍入りについて話していた。順調に調整してきた矢先に苦渋の決断を迫られることになったが、近い将来プロ野球界を担う存在であることに変わりはない。

 ◆田中正義(たなか・せいぎ)1994年(平6)7月19日、横浜市生まれ。小1から野球を始め投手。創価高1年秋に外野手に転向し創価大で投手に再転向した。昨夏のユニバーシアード競技大会では初の金メダルに貢献。リーグ通算15勝1敗。家族は両親、兄、姉、妹。186センチ、91キロ。右投げ右打ち。