ブラジルのみなさん、聞こえますか~!? 12球団新人最速白星を挙げたのはブラジル出身の広島ドラフト6位仲尾次オスカル投手(25)だ。同点の7回に登板し、1回を無失点。7回裏に味方打線が勝ち越し、プロ初勝利をゲットした。ヒーローは両手でウイニングボールを握り締めたまま「本当にうれしい。大事にしたい」と喜んだ。

 17歳で日本行きを決断。「両親のおかげで今があります」と言うように、背中を押してくれた。年俸800万円。「電話は高いので」と週に2、3度、メールで姉と近況報告をし合っている。だが「ブラジルで大ニュースになると思う」と予想し、今回の報告は電話。夢は「投球を見せてあげたい」と両親を日本に招待することだ。

 留学先の白鴎大では日本ハム栗山監督の授業を受け、社会人ホンダでは「100%で投げてはダメ」との指導を、レンジャーズのダルビッシュと高校時代を過ごした真壁コーチから受けた。広島では畝投手コーチからツーシーム習得を勧められ1軍をつかんだ。思考、練習、投球術。人と出会い、そのたびに成長した。「持ってるね」とは緒方監督。ダークホースの広島が、オスカルでカード勝ち越しスタートを切った。【池本泰尚】

 ◆仲尾次(なかおし)オスカル 1991年3月28日、ブラジル・サンパウロ生まれ。カントリーキッズ高から白鴎大、ホンダを経て15年ドラフト6位で入団。両親は沖縄生まれ。野茂英雄氏の映像を見て野球を勉強。漢字も操る。第3回WBCではブラジル代表として日本戦に登板。敗戦投手となり、将来リベンジが目標。178センチ、78キロ。左投げ左打ち。血液型はO。