14年ぶりの聖地先発マウンドで、阪神藤川球児投手(35)が今季初黒星を喫した。甲子園で初の先発勝利を目指したが、初回に先制2ランを被弾。打線の援護を受け、一時はリードしたが、5回に5連打を浴びて逆転を許した。4回1/3を投げ、自己ワーストの7失点KOとなった。

 日曜日の悪夢だ。サンデー球児が、まさかのサンドバッグ状態で初黒星を喫した。甲子園がため息に包まれたのは2点リードの5回だった。1死から田中、菊池、丸、ルナと単打4本で同点とされ、さらに1死二、三塁。5番エルドレッドに高めに浮いた直球を右中間へガツン。適時二塁打を食らった。5連打と打ち込まれて我慢し続けていたベンチもたまらずタオルを投入。4回1/3、7安打、自己ワーストの7失点だった。

 「申し訳ないとしか言いようがない。粘り強くとは思ったんですけど…」

 本拠地甲子園での公式戦登板は12年9月13日ヤクルト戦以来。先発に限れば、02年10月6日ヤクルト戦以来、4935日ぶりだった。藤川の過去の先発での通算3勝はすべてビジターでのもの。オープン戦では今年3月6日巨人戦で甲子園での先発勝利をマークしているが、公式戦では通算5試合で0勝3敗だった。聖地で復活星を見届けようと、4万6414人の観客がスタンドを埋め尽くした。

 ところが、だ。そんな虎党の表情が初っぱなから固まった。先頭田中を四球で歩かせると、続く菊池には135キロ直球を左翼ポール際まで運ばれた。直球の球速は140キロ台前半。60球を超えた4回からはボールが目に見えて浮き出した。5回エルドレッドのタイムリー直前にはフォークが抜けて暴投も記録。経験と技術で打者を手玉に取る本来の姿はなかった。

 「しっかりと考えながらというところで、(ピンチを)抜けられなかった。つかまってしまった」

 試合を見届けた藤川は悔しさを押し殺しながら淡々と話した。金本監督も「今日は最初からどこかおかしかったね。(5回は)右が並ぶところであと1人はアウトを取ってほしかった」と渋い表情。先発ローテから外れることはなさそうだが、次回登板が正念場であることは事実。次こそは日曜日の虎ファンを笑顔にする。【桝井聡】