価値ある一打でデビューを飾った。銃弾所持による出場停止処分が解けたロッテのヤマイコ・ナバーロ内野手(28)が「6番二塁」でスタメン出場。同点で迎えた8回1死二、三塁から、初安打、初打点となる勝ち越し2点二塁打を右中間に放った。抑えの西野が同点に追いつかれたが、9回に暴投サヨナラ勝ち。チームの連敗を2で止める活躍となった。

 ナインに笑顔とハイタッチで迎えられた。殊勲打を放って戻ってきたナバーロは、一塁側ベンチ前で待ち焦がれていた「チームの輪」に加われたことを実感した。「長かったです。自分の中では10年に感じました」と、出場停止の4週間を表現した。初球のチェンジアップを捉えた。ネクストバッターズサークルで観察していた。「変化球が多いな」。狙い通りだった。

 これも準備だ。「準備ができない人は結果を出せない」という信念がある。容貌には似合わず繊細であり、真面目だ。打撃練習の合間にゴロ捕球を続けている。この日もフリー打撃の直前に二塁の守備位置で行っていた。おかげで2回1死一塁では一、二塁間を襲う打球を好捕して併殺を演出し、涌井を救った。

 もちろん打撃にも備えていた。ベンチの中ではデスパイネと意見交換をしていた。「彼の情報と僕が観察した情報を話し合っていたんだ」と明かした。この4週間も試合中はホテルや自宅でテレビ映像をチェックしていた。球場にいると「チームの輪」に入れない寂しさを感じるからだ。ただし研究はしていた。

 4月23日がナバーロにとっては開幕戦だ。お立ち台では素直な思いをファンに告げた。「早く試合に出たかった。これからもファンと一緒に戦っていきたい。1人1人の気持ちが心強かったです」と応援に感謝した。ファンの輪にも飛び込んだ。もちろん支えてくれたのは家族だ。逮捕された時、真っ先に電話したのが母だった。気持ちを紛らわしたのは国にいる家族や友人との会話だった。

 伊東監督にとっても待ちに待った合流だった。「1人入ると打線の重みが違うね。お客さんも入った中、緊張していたと思うが、活躍してくれた。守備もよかった」と評価した。首位争いに欠かせない助っ人が、遅れて登場した。【矢後洋一】