3回の守備だ。阪神金本監督が鬼の形相でベンチを飛び出した。「何でコリジョンなのか?」。杉永責任審判を突き飛ばさんかの勢いで猛抗議。怒りは就任後最大級の激しさだった。だが「リプレー検証の後は抗議できません。お帰り下さい」と却下された。両手を大きく挙げるお手上げポーズで、顔を真っ赤にしたまま引き揚げた。

 セ・リーグ初、阪神にとって痛いコリジョンルールが適応された。3回2死二塁、巨人脇谷の中前安打を大和がさばき、本塁へワンバウンド送球。原口が滑り込んできた小林誠にタッチし嶋田球審がアウトを宣告。チェンジを確信したナインもベンチに引き揚げた。

 ところが、判定は覆った。数分後に杉永責任審判が「コリジョン適用」のアナウンスをし、原口に警告を与えた。金本監督の怒りは頂点に達した。「どういう理由でコリジョンなのか。説明してもらいたいね。バウンドを合わせただけだし、あれがコリジョンと言われたら。納得いってなかったから」。審判サイドの見解は、「最初から走路に入って立っていた」(杉永審判)というものだった。

 村山実さんをしのぶ「永久欠番デー11」として開催され、全員が背番号11を帽子に刺しゅうして戦った試合だったが、コリジョンを機に、負けた。3連敗で貯金0。巨人には25年ぶりに甲子園で開幕から勝ち星なしの4戦3敗1分けとなった。高代ヘッドコーチは「幼稚すぎる。腹が立つ」とおかんむり。金本監督は「公式に出すでしょう」とNPBへの意見書提出を明言した。後味の悪い貯金0になった。【松井清員】