悲劇がまた繰り返された。先発した阪神岩貞祐太投手(24)が今季最短3回6失点でKOされ、今季6敗目を喫した。レフト方向に舞い上がった打球を見つめた左腕は、ガックリと肩を落とした。3回、1点を勝ち越され、なお無死満塁の場面だった。5番福田をカウント2-2と追い込んでからの5球目。高めの144キロを完璧に捉えられた。

 「長打がダメなところで打たれてしまったということは、根本的に変えないといけない」

 わずか1カ月間で3度目となる惨劇だ。岩貞は6月3日西武戦でメヒア、同19日にはソフトバンク城所に満塁アーチを浴びている。5月27日巨人戦で初完封を最後に白星から遠ざかり、これで自身4連敗だ。

 まさに自滅だった。問題の3回は無死から2番大島に暴投による振り逃げで出塁を許したところから始まった。そこから2四球が絡んで最後は満塁アーチ。さらに言えば、2回の攻撃では1死一塁からバント失敗で併殺と、負の連鎖を自分で作り出してしまった。

 「仕事をしないといけないところでミスしてしまって流れを悪くした。そういうところも含めて見つめ直したい」

 開幕から0点台を推移していた防御率もこの試合後には3・20まで跳ね上がった。香田投手コーチは「こういうところを乗り越えてみんな強くなるんだから」と奮起を期待した。ぶち当たった壁を突き破ることが出来るか。まさに正念場だ。【桝井聡】

 ▼阪神岩貞が中日福田に満塁本塁打を浴びた。6月3日西武メヒア、同19日ソフトバンク城所に打たれており、今季3度目の満塁被弾。1シーズンに3本の満塁本塁打を浴びたのは、07年の阪神ボーグルソン以来、9年ぶり。ボーグルソンは8月に1本、9月に2本打たれたが、1試合は勝利投手になっている。