楽天の新入団選手発表会見が22日、仙台市内で行われた。育成契約を含め、ドラフトで指名された全14選手が家族らに見守られながら、背番号入りのユニホームに袖を通した。会見では自らを「○○男」と題し、アピール。左サイドスローの9位指名の高梨雄平投手(24=JX-ENEOS)は早大時代に東京6大学野球で史上3人目の完全試合を達成。「持っている男」だが、「少数派の男」になると意気込んだ。過去最多の新人らは個性を打ち出し、プロの舞台へ羽ばたく。

 多数派に負けない覚悟があった。高梨はマイクを握ると、頭の中に描いた将来像を話し出した。「少数派の男になりたい。プロ野球選手になれただけでも少数派ですけど、生き残るには少数派の男にならないと」とよどみなく言い切った。プロでも貴重な左サイドスロー。希少価値が武器になると胸を張って強調した。

 経歴も少数派だ。13年4月、早大時代に東京6大学野球で東大相手に史上3人目の完全試合を達成。「(完全男と)言われるのはありがたい。経歴の1つで、完全試合に恥じない結果を出していかないと」と照れるが、名投手を輩出してきた同大でも歴史上初の快挙だった。当時は上手投げだったが、「ENEOSの新人がいい投球をしていて」と生き残るために今夏から横手投げへと変更。結果、プロ入りへの扉が開いた。

 目指す投手もちょっぴり変わっている。同じく左サイドの日本ハム宮西も目標とするが、「角盈男さんみたいになりたい。あれだけガッツリ腕を下げられるように」と約40年前の巨人の中継ぎスターを意識。最速143キロの直球とスライダー、ツーシーム、チェンジアップを武器に勝利の方程式に入りたいと意気込む。

 私生活も少し不思議だ。ベルトと靴の色は必ずそろえ、納豆は右回転50回、左回転で50回と合計100回かき混ぜる。焼き肉も1枚ずつ焼くのが信条。「1枚に全てをかけるんです。イチローさんも同じことを言っていました」と天才と通じる。日本ハム有原とは大学の同期で「変わっているとよく言われました」と太鼓判を押されている。背番号は「53」。「社会人卒なので1年目から結果が求められる。故障しないで、50試合、60試合投げられるように」と意気込む。変則投法の少し変わった左腕。楽天で唯一無二の男を目指す。【島根純】