攻撃でも名コンビだった。1番荒木の盗塁を補助する2番井端は、右目で一塁塁上を見る。荒木のスタートが悪ければファウルにする技術があった。コンビ結成直後の星野仙一監督時代。井端はヒットエンドランのサインで振らなかった。「スタートが良かったから」。1軍首脳陣が頭を悩ませ話し合ったほど、2人の技術は高かった。

 独身時代は、井端ら同年代の野手がそれぞれの部屋で順番に寝泊まりするなど距離も近かったが、なれ合いではなかった。練習中に2人がケンカをしている姿を誰もが見ていた。キャンプ中の張り合うように受ける猛ノックが名物だった。井端コーチは「どっちが先にやめるかと。1人でやっていたら、半分でいいと気持ちが切れていたかも」と振り返る。荒木も「井端さんがいたからここまで来られた」と感謝している。

 大台まで88本足りなかった井端コーチは「自分のことのようにうれしい」と喜んだ。名コンビで到達した大記録といってもいい。

 ◆日本プロ野球名球会 通算2000安打を達成した荒木は名球会入りの資格を得た。名球会(78年発足)の参加資格は日米通算記録が投手は200勝か250セーブ、打者は2000安打以上。現在の会員は60人(投手16人、打者44人)。山本浩二理事長。