腕を振ることだけに集中した。4回1死一、二塁。西武岡本洋介投手(31)は阿部、亀井を外角へのシュートで連続の二ゴロに仕留めた。「自分は両サイドにきちっといかないとダメ。出し入れしながらというイメージだった」。曲がりの違う2種類のスライダーにカーブも織り交ぜ、5回2/3を無失点。今季初先発で2年ぶりの白星をつかんだ。

 先発は15年10月1日オリックス戦以来。「ずっと緊張しっぱなし」と振り返ったが1球目で落ち着けた。初回、先頭の陽岱鋼。初球スライダーで投ゴロに打ち取った。「とにかくアウト1つ1つをテーマにしていた」。走者を出しながらも決定打は許さず、有言実行の投球を見せつけた。

 プロ8年目の開幕は2軍スタート。「先発できちっとやれないと終わってしまう」。背水の登板。泥沼の連敗中の相手にも揺れなかった。「(巨人の連敗を)意識なんて出来なかった。怖い打線。どんどん攻めていこうと思った」と果敢に内角を突けたからこそ、外角球が生きた。

 力のこもった81球で巨人に歴史的黒星をつけたが、「チームの連勝に貢献出来てよかった。(炭谷)銀仁朗がうまく落ち着かせてくれて、リードしてくれた」と女房役に感謝した。チームを今季3度目の5連勝に導く力投に、辻監督も「気持ちも入っていて投げっぷりもよかった」とたたえた。次回も先発機会を勝ち取った右腕は「これからも気合を入れて頑張るだけ」。表情を崩すことなく、力強く誓った。【佐竹実】